定代名詞・再帰代名詞とその格変化

定代名詞とは聞きなれない用語ですが、英語で言うと every (1つ1つ全ての)などに相当する語です。これらをロシア語で何と言うか、どういう使い方をするかを学習します。【※英語では、 every とか each などは品詞としては determiner と呼ばれ、日本語訳では「限定詞」などと言います。】

また、再帰代名詞と呼ばれるもの(主語の人などが「自分」を指すために使う)も一緒に学習します!

色々な定代名詞と再帰代名詞

まずは、どのような語が定代名詞と再帰代名詞と呼ばれるのかを見ましょう。

定代名詞とは? ■ 再帰代名詞とは? ■ 「お互い」друг друга 

定代名詞とは?

「全ての」「全て」「・・自身」などは、品詞としては「定代名詞」と呼ばれます。
ロシア語では次のように言います。

  • весь:全ての мы все「私達全員」 вся семья「家族全員」 весь мир「世界中、全世界」
    ★ 後述するように、весь は代名詞や形容詞と同じく格変化します!
  • всё:全部【名詞的に使う】 これは весь の中性形と同形です。
  • все:全員【名詞的に使う】 これは весь の複数形と同形です。
  • сам:・・自身 я сам「私自身」
    ★ 後述する「再帰代名詞」себя と似ていますが、少し違います。
    ★ сам も格変化します!

Вы сами это сделайте. 「ご自分でやってください。」 сделать:~をする、行う
★ вы сами「あなたご自身」【※この вы は「丁寧な」2人称単数で、格変化は複数扱い сам → сами】

Я сделала всё сам. は全てを自分でやった。【=私自身が全てをやった。】
★ このように、「私:я」と「自分(自身):сам」が文章内で位置的に離れる事もよくあります。
★ ここでの всё は、名詞的に使うほうの「全て」です。

他方、「他の」「それぞれの」といった語は基本的に形容詞という扱いになります。ただし、意味としてはここで扱ったほうが分かりやすいと思うので、一応列挙しておきます。

  • другой:他の、別の
  • каждый:それぞれの、各々の【名詞的に使う】
    ★ 名詞的にも使います。その場合は「それぞれ」「各々」の意味。
  • такой:そのような
    ★ これも、名詞的にも使います。「そのような人・もの」の意味。

「多くの」「いくつかの」・・等の、数量を表す語も似たような部類に入ります。名詞が続く場合はこれらの扱いは個数詞の文法に似ていて、続く名詞は生格の形にします。

  • многое:多くのもの、多くの事【名詞的に用いる】
    много:多くの
  • мало:少しの
  • несколько(некоторый):いくつかの、少量の、

再帰代名詞とは?

себя という語は「自分」を指し、再帰代名詞と呼ばれます。

日本語では「ゴルバチョフは彼の事について・・・」などと言う場合、「彼」は第3者であっても、ゴルバチョフ本人の事であっても、どっちでもあり得るわけですが、より明確に本人である事を言う場合は「彼自身」「自分」などとも表現できます。
こういった場合の「彼自身」「自分」に相当する語が、再帰代名詞 себя です。 この語も、後述するように格変化させて使用します。

Она рассказала нам о себе. 彼女は自分【彼女自身】の事について私達に語った。
★この場合、性別は関係なくて「前置格にする」という変化だけがあるわけです。
ですから、「彼女」を「彼」に変えても、себе のところは同じです!
Он рассказал нам о себе. 彼は自分【彼自身】の事について私達に語った。

рассказать:伝える、語る、話す  рассказ:物語
主語の人と、再帰代名詞 себя が指す人は同一人物であるわけです。
格変化させて使用する事と、主格としては使われない事には少し注意。

себя と сам の違いは??

себя は、必ず主格以外の格で使用するという特徴があります。(「主格は存在しない」のです。)
それに対して、сам は主格の形でも使われます。
また、сам は я сам「私自身」のように、他の語と合わせて使ったりします。それに対して、себя は基本的に単独で使用するわけです。

「お互い」 друг друга

英語の each other(お互い)という表現は、2語まとめて1つの代名詞のような形で使われます。

似た表現がロシア語にもあり、друг друга「お互い」という形で、2語まとめて1つの代名詞のように扱います。

Любите друг драга. 互いに愛し合いなさい。 
любить:愛する

文法上は、通常の人称代名詞や定代名詞等とは区別され、別の扱いにされるようです。

少し分かりにくいのですが、この друг друга という表現も、定代名詞等と同じく格変化させて使用します。

このページ内の格変化のところで述べますが、друг друга という形は、じつは主格ではなく生格(および対格)の形です。主格は、じつは存在しません。つまり、通常の主語としては用いないという事になるので、少し注意が必要かもしれません。(偶然だと思いますが、その点は英語と似ています。)

定代名詞の格変化

では、定代名詞等の格変化について見てみましょう。
「え~、こんなものまで格変化するの??」という話にもなりますが、基本的には形容詞等の格変化の形に似ています。そのため、コツをつかめばそれほど複雑ではありません。

весь の格変化 ■ сам の格変化 ■ каждый, такой, другой・・の格変化 

весь の格変化

весь の格変化は、「主格・男性」を除くと物主代名詞(мой「私の」など)の格変化と同じ形です。
形容詞の格変化などとも、全体像は似ています。

格\性別 男性 女性 中性 複数
主格 весь вся всё все
対格 活:всего
不:весь
всю всё 活:всех
不:все
生格 всого всей всого всех
与格 всему всей всему всем
造格 всем всей всем всеми
前置格 всём всей всём всех
色々なものが格変化するので初見で一度に覚えられるものではありませんが、形容詞などの格変化には全体的に一定の特徴があります。 весь や сам の格変化も、その特徴をつかむと見やすいと思います。

сам の格変化

сам の格変化は、男性主格以外は指示代名詞の этот「これ」と同じ格変化の形になります。(女性形のところは、 этот 型の変化と、別の形の変化の両方の表現があります。 )
весь と同じく、全体的には形容詞の格変化とも似ています。

格\性別 男性 女性 中性 複数
主格 сам сама само сами
対格 活:самого
不:сам
саму(самоё ) само 活:свмих
不:сами
生格 самого самой самого самих
与格 самому самой самому самим
造格 самим самой(самою ) самим самими
前置格 самом самой самом самих

каждый, такой, другой, многое ・・の格変化

「それぞれの」「そのような」「他の」・・などの格変化についても、ついでにここで触れておきましょう。意味としては весь に関連が強いものとして理解したほうがよいと思われるからです。

  • каждый, такой, другой は、そのまま形容詞の格変化。
    (硬語尾の形容詞の格変化。代名詞として使う場合も同じ格変化です。)
  • много мало несколько は主格と対格でしか使われない
    (そのため、実質的に格変化を考えなくてもいい。)
  • многое は格変化するが、性別による変化はない。

格変化の表も、一応記しておきますね。

格\名詞の性 男性 女性 中性 複数
主格 каждый
такой
другой
каждая
такая
другая
каждое
такое
другое
каждые
такие
другие
対格 活:каждого
  бтакшого
  другого
不:каждый
  такой
  другой
каждую
такую
другую
каждое
такое
другое
活:каждих
таких
других
不:каждые
такие
другие
生格 каждого
такого
другого
каждой
такой
другой
каждого
такого
другого
каждых
таких
других
与格 каждому
такому
другому
каждой
такой
другой
каждому
такому
другому
каждым
таким
другим
造格 каждым
таким
другим
каждой
такой
другой
каждым
таким
другим
каждыми
такими
другими
前置格 каждом
таком
другом
каждой
такой
другой
каждом
таком
другом
каждых
таких
других

★ каждый と такой, другой とで語尾の変化が微妙に異なるのは、「語幹の終わりが к, г, х であるかそうでないか」の違いによるものです。

名詞的に用いる многое の格変化は、上記で触れていますように、性別による変化がなく、1つの格に対して1つの形があります。

格\性別 男・女・中・複の区別はつけない!
主格 многое
対格 многое(主格と同形で、力点の位置も同じ。)
生格 многого
与格 многому
造格 многим
前置格 многом

再帰代名詞などの格変化

себя の格変化 ■ друг друга の格変化 ■  

себя の格変化

上記でも触れましたが、じつは себя は主格としては一切使われず、主格の形自体が用意されていません。(себя という形は「生格」の男性形です。)
また、себя は格変化はするけれども、性別や単数・複数によっては一切区別せず、1つの格につき1つだけの形があるという事も特徴です。(定代名詞の сам は男・女・中・複の区別がある)

格\性別 男・女・中・複の区別はつけない!
主格 無し
対格 себя(生格と同形で、力点の位置も同じ。)
生格 себя
与格 себе(前置格と同形で、力点の位置も同じ)
造格 себой(себою)
前置格 себе

себя の格変化の対格のところでは、活動・不活動体の区別もなしです。

друг друга の格変化

друг друга「お互い」の格変化も記しておきましょう。一見めんどくさそうですが、じつはかなりシンプルです。いくつか特徴を列挙します。

  • 格変化する時は、друга の部分だけを変化させ、друг の部分は変化しない
  • 性別は区別せず、1つの格につき1つだけの形がある
  • 主格は存在しない。 друг друга は生格(対格と同形)の形。
  • 対格では活動体・不活動体の区別もしない。
  • 前置詞を使う場合は、 друг о друге「お互いについて」のように、
    2語の間に前置詞を入れる決まりがある。
格\性別 男・女・中・複の区別はつけない!
主格 無し
対格 друг друга(生格と同形、力点位置も同じ)
生格 друг друга
与格 друг другу
造格 друг другом
前置格 друг о друге(← ※前置詞も含めた形で表記。)

では今回は終わります。ご覧いただきありがとうございます!

参考文献・参考資料

※参考図書のリンクは外部リンクです!

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