「時々」「頻繁に」「いつも」などの頻度を表すロシア語単語を詳しくまとめます!副詞が中心になります。
動詞の時制に関するまとめで、頻度を表す副詞についても少しだけ触れましたが、今回はそれらに対象を絞って詳しく整理し、まとめますね。
頻繁でない事を表す副詞 時々・稀に・・
まず「時々」などの、それほど頻繁ではない状況を表す副詞を整理してみましょう。
■ 「時々」「たまに」などの表現 ■ 「稀に」「めったに・・ない」などの表現
■ 「ほとんど・・ない」「決して・・ない」の表現
★ 定期的に週1度行く、月に1度行くといった表現も頻度的には「たまに」と言ってよいかとは思いますが、これらは後述する回数の表現の箇所で扱う事にします。

「時々」「たまに」などの表現
まず、「たまに行く」とか「時々見る」といった場合などの、それほど頻繁ではない事を表す副詞です。一見単純な表現ですが、日本語で「たまに・時々・時に・~する事も・・」などのように大体似た表現を微妙なニュアンスの違いによって分けるように、じつはロシア語でも似た意味の数種類の語があります。それを見てみましょう。
- иногда:時々、たまに、~する事もある
- порой:時々、~する事もある【頻度は多くない】
- временами:時々、~である事もある
★ время:時間、時 - время от времени:時々、適度に、適当な頻度で
★ 仕事中に「時々」休憩するなど、割と頻度の多い「時々」
★ от:【前置詞】~から - иной раз:時々
★ иной :「異なる・別の」 後述しますが раз は「回数」の意味。 - подчас:時々
★ под:【前置詞】~の下に час:時【時刻の1時、2時など】
これらはいずれも「時々」と訳してそんなに間違いのない語ですが、このような簡単な意味でも表現が色々あるわけですね。言葉の成り立ちから微妙な違いを考えてみるのも面白いと思います。
考えてみると日本語でも、「時々映画を見に行く」と言うのと、料理中などに「様子を見ながら時々かきまぜる」と言うのとでは、ちょっと時間のスケールが違いますね。
前者は1週間に1度とか1ヶ月に1度という意味でしょうが、後者は例えば20分ごとに1度とかの意味で使っているわけです。

「稀に」「めったに・・ない」などの表現
- редко:めったに~ない、ほとんど~ない、~なのは稀である
★ 肯定文の中で、日本語に訳すと実質的に「ほとんど・・ない」になります。 - нечасто:頻繁ではなく
★ 後述しますが часто は「頻繁に」の意味です。 - изредка:めったに~ない、時々
元々は必ずしも頻度を表さない語で、意味が転じてやや比喩的に「稀に」という意味にもなり得る、という語もあります。
- необычайно:驚異的に、信じられないほど → 転じて「稀に」の意味も
- на редкость:普通でなく、通常でなく → 転じて「稀に」の意味も
- исключительно:純粋に、~の為だけに、専ら → 転じて「稀に」の意味も
「ほとんど・・ない」「決して・・ない」の表現
ほとんどないという事をさらに超えて、
「決して~ない」「一度も~ない」という表現は次のようになります。
- никогда:決して~ない、一度も~ない
★ никогда не ~ の形で使用します。 - вообще никогда:「これまでに」決して一度も無い、という表現です。
- ни разу:決して~ない
★ 後述する раз → разу の形で使っています。
★ никогда は ни という「小詞」を疑問詞につけた形になっていて、これの仲間として нигде 「どこにも~ない」などがあります。
頻繁である事を表す副詞 よく・何度も・いつも・・
次に、頻繁である事を表す副詞です。
■ 「頻繁に」「よく」「何度も」を表す副詞
■ 「通常は」「大抵は」「常に」「いつも」
■ 毎回・毎日・毎週・・などの表現
「頻繁に」「よく」「何度も」を表す副詞
- часто:何度も、何度か、頻繁に、しばしば
★ 形容詞形は частый:頻繁な частые дожди:頻繁な降雨 - зачастую:頻繁に、よく、多くの場合
★ часто の変形版と考えられますが、大体同じ意味である事も。 - частенько:何度も、頻繁に
★ これはややインフォーマルで、話し言葉で使われるとされます。 - во многих случаях:何度も
★ случай:件、機会、事件 много:たくさんの、多くの
часто に似ている単語として名詞の часть があります。この часть は「部分」「単位」「側【例えば北側】」などを意味し、頻度とは直接的な意味のつながりは見られませんね。ちょっとややこしいので学習する時には注意しましょう。
「とても頻繁に」などと言う場合は、очень часто と言います。 очень という語が強調の「とても」を表し、他の形容詞や副詞に対しても用いる事ができる語です。
また、別の形容詞の意味が転じて比ゆ的に 「頻繁な」 という意味になる事もあります。
- многократный:頻繁な、多重の、重複の、繰り返される
★ кратный:掛け算の、分割可能な - обычный:普通の、通常の、適度の
- постоянный:安定した、恒久的な、常連の、不断の

「通常は」「大抵は」「常に」「いつも」
頻繁である事に関連して、「通常は」「大抵は」という表現も見ておきましょう。また、それをさらに超えて、「常に」「いつも」等の表現も合わせてここで整理します。
まずは 「通常は」「大抵は」の表現です。
- обычно:いつもは、通常は
★ как обычно:いつものように - как правило:一般的に、通常は、規則では
- в основном:大抵は、ほとんどの場合
★ основной:基本的な、主要な、核心となる - по большей части:大部分は、ほとんどの場合
★ часть:部分 上記でも少し触れましたね。
★ большой:大きい
次に、「いつも」「常に」を表す表現です。
- всегда:いつも、常に
- неизменно:いつも、常に
★ неизменный:一定の、安定した、不変の
★ изменение:変化、修正
★ менять, изменять:変える меняться, изменяться:変わる
「いつも」と言う場合、本当に1分の例外もなくという事も表しますが、主観的に「そのように感じるくらいに頻繁に」という意味でも使います。
例えば「彼はいつも寝てばかりいる」と言う場合、本当に24時間睡眠状態であるという事では無く、そのような事がすごく多いように見えるという意味ですね。
毎回・毎日・毎週・・などの表現
毎回・毎日・毎週などの「毎」を表すには каждый という語(形容詞)を用います。これは「全ての」「それぞれの」「各人・みんな【代名詞】」を表す語です。基本的に、 каждый の後に回・日・月・・などの単語を添えればよい事になっています。
- каждый раз:毎回
- каждый день:毎日
- каждая неделя:毎週
- каждый месяц:毎月
- каждый год:毎年
- каждый час:毎時、1時間ごとに
- каждая минута:毎分
- каждая секунда:毎秒
- каждые полчаса:30分ごとに
каждый の形の変化については、形容詞の格変化の規則によります。
これについては、時刻の表現のまとめでも触れています。
「全ての」「任意の」などを表す語には、次のようなものもあります。
- любой:全ての、どんな~も
- всякий:全ての、それぞれの
★ всякий раз:各回ごとに、毎回 - всевозможный:様々な、あらゆる、全ての
★ возможный:可能な、可能性のある、潜在的な - все:全ての、全部

回と回数を表す表現
「1回目」「3回言った」などの回や回数を表す表現です。
■ 1回2回3回・・ 個数詞 + раз
■ 1回目2回目3回目・・ 順序数詞 + раз
■ 「1週間に1回」などの表現 ~ раз в ・・
1回2回3回・・・ 個数詞 + раз
回を表すには раз という語を使います。尚、「時(とき)・時間」を表す語は время という別の語です。
この時、個数詞の文法規則に合わせて раз の形を変化させます。
以下では、主格の場合を記します。(※主格の時には、5以上の場合は「複数生格にする」・・といった、少し分かりにくいものです!)
- один раз:1回、1度
- два раза:2回、2度
- три раза:3回、3度
- четыре раза:4回、4度
- пять раз:5回、5度
- шесть раз:6回、7度
★「1回だけ」「1回しか」のように言う場合は、副詞の только「~だけ」などを用いて только один раз のように表現したりします。
★ 通常、子音で終わる名詞(男性名詞)の生格の複数形は 語尾に ов をつけます。例: дом → домов
しかし、раз の生格の複数形はじつは「不規則変化」であり、主格・単数と同じ形 раз になります。
ですので、通常の個数詞の規則を当てはめると5以上の数の後には「生格・複数」の形が来ますが、раз の場合は実質的に主格・単数の形になるというわけです。
生格の単数のほうは規則通りで、раз → раза になります。
・・こういう習慣は、学習者目線で見ると正直困ったものだと思いますが・・。
混乱しないように、一応注意しましょう。
このようになっていきます。7以降も同様・・と言いたいところですが、21まで行くと22,23,24・・の1の位の部分の文法規則が適用されたりするので正確な把握は結構面倒です。詳しくは個数詞についてのまとめで!
1回目2回目3回目・・ 順序数詞 + раз
これらに対して、「2回目」「3回目」のように、その特定の回だけを指す場合は、順序数詞を раз につけます。ついでにここで見ておきましょう。
以下に記すのは主格の場合で、この時は раз はそのまま主格・単数の形です。
- первый раз:1回目、1度目
- второй раз:2回目、2度目
- третий раз:3回目、3度目
- четвёртый раз:4回目、4度目
- пятый раз:5回目、5度目
- шестой раз:6回目、6度目
「1週間に1回」などの表現 ~ раз в ・・
「1週間に1回」などと言いたい場合は、まず回数の部分を普通に用意します。次に、前置詞の в を用いて、期間などを表す語を対格にして完成です。(前置格ではないので注意・・。)
ですから、「1週間に1回」は один раз в неделю です。
(こういう場合、「1週間」に対して один はつけなくても可。)
「1ヶ月に2回」と言う場合は два раз в месяц です。
また、раз を用いたその他の表現としては、次のようなものもあります。
- ещё раз:もう1度、もう1回
- не раз:繰り返し
★ ちょっとこれは特徴的で、覚えてないと分かりにくいですね。 - как раз:ちょうど
- ни разу:1度も~ない、決して~ない
★ この表現については上記でも触れましたね。
多くの表現がありますが色々な使用例に触れながら少しずつ覚えていけばよいかと思います!
では、今回はこれで終わります。ご覧いただきありがとうございます!