今回は、「接頭辞 + -казывать」(および「接頭辞 + -казать 」)
の形のロシア語の動詞についてまとめます。
例えば заказывать , указывать , показывать доказывать ・・などの動詞があり、
割とよく使われるものも含まれるので、意味を知っておくと便利です。
また、высказывать, рассказывать などについては「接頭辞+ сказывать」と考える事ができますが、これも語源をたどると казывать から来ていると考えられているようなので、このページでは一緒にまとめています。
-казывать と -казать の意味
まず、-казывать (および完了体につく -казать)の意味を見てみましょう。
■ -казывать は、やや古い表現の казать 由来
■ сказать は говорить の完了体
■ -казывать, -казать の動詞の活用

-казывать は、やや古い表現の казать 由来
-казывать は、現代ロシア語ではあまり使われなくなっていてやや古い語である казать という動詞に由来すると言われています。
казать は「見せる」「示す」「伝える」などを表します。
казать の完了体は выказать です。
- 不完了体:казать
- 完了体:выказать
★ 後述するように、 выказать は выказывать という動詞の完了体でもあります。
「接頭辞 + казывать」の形の単語の完了体は、じつは 「接頭辞 + казать」のようになります。 不完了体と完了体の関係が入れ替わりますが(よくあります)、接頭辞をつけた形で -казать も現代ロシア語の中に残っているというわけです。
不完了体と完了体の関係は次のようになります。
- 不完了体:「接頭辞 + -казывать」【例: заказывать】
- 完了体:「接頭辞 + –казать」 【例: заказать】
「接頭辞 + казывать」の形のロシア語動詞も、基本的には 「見せる」「示す」「伝える」 の意味に関連するか、あるいは直接的にそれらの意味を持っている事が多いです。
そのため、古いほうの казать は現代ロシア語ではその形が残っている事に加えて、接頭辞をつける形でその意味が表現されるようになっていると理解できるかもしれません。
сказать は говорить の完了体
完了体のほうに с がついた сказать は、「говорить:言う、話す」の完了体として現代ロシア語で使われます。完了体なので、過去形の сказал, сказала, ・・の形で使用される事が多いです。
ただし、同じく古い語で「сказывать:声を発する、物語る」という動詞があり、
もともとは、その完了体が сказать であったようです。
- 不完了体:говорить
- 完了体:сказать
■ 古い表現での不完了体と完了体
- 不完了体:сказывать(声を発する、物語る)
- 完了体:сказать
говорить の完了体のほうの сказать に、さらに接頭辞がついた высказывать, рассказывать などの動詞があり、これらは「言う」の意味から派生する意味を持ちます。

сказать は過去形の сказал, сказала, сказало, сказали の形での使用が多いです。
-казывать, -казать の動詞の活用
-казывать で終わる動詞の活用は次のようになります。
читать 等と同じ変化になります。
-казывать | 現在形 | 過去形【通常通り】 |
---|---|---|
1人称 | 単数:-казываю 複数:-казываем |
【主語が単数】 ≪主語の性別≫ 男:-казывал 女:-казывала 中:-казывало 【主語が複数】 -казывали |
2人称 | 単数:-казываешь 複数:-казываете | |
3人称 | 単数:-казывает 複数:-казывают |
-казывать で終わる動詞の未来形は、通常の動詞の未来形と同じく、「бытьの未来形+動詞の不定形」になります。例えば я буду заказывать【1人称・単】 , он будет заказывать【3人称・単】 , ・・といった具合です。
-казать で終わるものは基本的に完了体なので現在形は考えなくてよく、過去形は規則通りの、主語の男・女・中・複数に応じた -казал, -казала, -казало, -казали です。現在形は考えない代わりに未来形が変化するので、ここではそれを記しておきましょう。
-казать | 未来形 | 過去形【通常通り】 |
---|---|---|
1人称 | 単数:-кажу 複数:-кажем |
【主語が単数】 ≪主語の性別≫ 男:-казал 女:-казала 中:-казало 【主語が複数】 -казали |
2人称 | 単数:-кажешь 複数:-кажете | |
3人称 | 単数:-кажет 複数:-кажут |
говорить の完了体のほうの сказать も、 с + -казать と考えて動詞の活用を理解できます。
次のようになります。
сказать | 未来形 | 過去形【通常通り】 |
---|---|---|
1人称 | 単数:скажу 複数:скажем |
【主語が単数】 ≪主語の性別≫ 男:сказал 女:сказала 中:сказало 【主語が複数】 сказали |
2人称 | 単数:скажешь 複数:скажете | |
3人称 | 単数:скажет 複数:скажут |
また、参考までに古い表現の казать の現在形・過去形の活用は次の通りです。
これも、大体は一般の動詞の活用に準じるものです。
古語の казать | 現在形 | 過去形【通常通り】 |
---|---|---|
1人称 | 単数:кажу 複数:кажем |
【主語が単数】 ≪主語の性別≫ 男:казал 女:казала 中:казало 【主語が複数】 казали |
2人称 | 単数:кажешь 複数:кажете | |
3人称 | 単数:кажет 複数:кажут |
古いほうの казать の現在形の変化の仕方と、「接頭辞 + казать」の未来形の変化の仕方は同じであるという事になります。
接頭辞 + -казывать, -казать の形の動詞
他の種々の単語と同じく、接頭辞の意味を考える時には前置詞の意味が役に立ちます。
■ 接頭辞 + -казывать の形の動詞
■ 接頭辞 + -сказывать, -сказать の形の動詞
■ 関連語・・動詞から作られる名詞

の、両方の用途で使われます。
動詞の成り立ちとイメージをつかんで覚えていきましょう。
接頭辞 + -казывать の形の動詞
まず、с がつかないほうの「接頭辞 + -казывать 」の形の動詞です。
これらの中には、比較的多く使われる動詞も含まれています。
- доказывать:明らかにする、証明する 【完了体:доказать】
★ 類義語:「подтверждать:確認する、了解する、証明する」 【完了体:казать】 - заказывать:注文する 【完了体:заказать】
★ покупать:買う、購入する приобретать:買う、購入する、得る - показывать:【見せるの意味の】示す、展示する、誇示する 【完了体:показать】
★ 名詞の「展示」は выставка または показ - приказывать:指示する、命令する 【完了体:приказать】
★ 意味的には заказывать とのつながりが見られるかもしれません。 - наказывать:罰する、処罰する 【完了体:наказать】
★ 古くは「命令する」という意味もあったと言います。 - отказывать:断る、拒否する 【完了体:отказать】
★ 前置詞の от は「~から」を表しますが、転じて、接頭辞の от- では「離れる」事も表します。 - указывать:指さす、指摘する 【完了体:указать】
★「~を指摘する」と言う場合は特に указывать на ~ - выказывать:見せる 【完了体:выказать】【インフォーマル】
★ この動詞の完了体は、古い表現のほうの казать の完了体と同じです。 - оказывать:(サポート、サービスを)提供する・与える、(圧力、影響を)及ぼす、行使する
★ оказание:(助け等の)提供
★ оказываться:判明する、示される
この中で、「命令する」「注文する」といった意味になる動詞が含まれていますが、それらは -казывать のいくつかの意味の中の「伝える」からの派生と考えると良いかもしれません。
完了体が使われる時は、過去形の形で使われる事が多いので実際の文章等で慣れていきましょう。
ツイッターのツイートで使用されている例を見てみましょう。
例えばこのツイートでは показывать が完了体の形で使われているのですが、分かるでしょうか。
показывать → показать【完了体】 → показал【過去形】という具合です。(※これは説明のために書いてるだけで、もちろん最初から показал という語を見て意味を把握できるようになるのが好ましいです。)
いきなり見せられると分かりにくいかもしれませんが、
こういった実際の使用例を見ながら慣れていきましょう。
■参考:
сюжет:筋書き、プロット【フランス語由来】 празднование:お祝い
позавидовать:妬む、うらやましがる улыбка:笑顔
спокойствие:静けさ(≒тишина)、平和(≒мир) наконец:最終的に、ようやく
осознать:認識する、気付く огромный:巨大な(≒большой)、広大な(≒бескрайний)
заслуга:長所、メリット、成功
☆ улыбка は「笑顔」の事ですね。
接頭辞 + -сказывать, -сказать の形の動詞
次に、接頭辞のあとに不完了体は -сказывать、完了体は-сказать が続くタイプの動詞です。これらは、「伝える」「言う」的な意味が反映されているものが多いです。
говорить の完了体 сказать も、派生が同じである動詞と考える事ができます。
- высказывать:話す、表現する
★ 意味自体は говорить とやや重複していて、硬めの文章で主に使われるようです。 - досказывать:話し終える、語り終える
★ 上記の доказывать も参照。 - пересказывать:再度伝える
★ пере- は「再び」「過度に」「横切って」等の意味になる接頭辞です。 - предсказывать:前もって言う、予想する、予報する
★ 天気予報などの「予報する」の意味で使われる事があります。(≒прогнозировать)
★ 接頭辞は пред- で、「時間的に前である事」等の意味です。 - подсказывать:促す、示唆する
★ この語は、必ずしも言葉によるものだけではない場合もあります。 - рассказывать:伝える、物語る
★ 接頭辞は「離れる事」「拡散」「拡大」を表す раз- の変形の рас- です。

предсказывать もしくは прогнозировать という動詞を使います。
прогноз は予想や予報という意味です。
関連語・・動詞から作られる名詞
関連語として、上記の動詞の名詞形なども挙げておきましょう。
- заказ:注文
- показ:展示、デモンストレーション、ショ―【例えばファションのショー】
- приказ:命令、指示
- пересказ:再度言う事、言い換え
- подсказка:促し、ヒント、助け(≒помощь)
- рассказ:物語
これらの語は、一見すると単独で覚える必要があるように見えるかもしれませんが、じつは動詞のほうを先に理解してその名詞版であると捉えると意味が明確になる、あるいは分かりやすくなる例です。
単独で1つずつ覚えるよりも、かなり理解しやすくなるかと思います。
では今回は終わります。引き続きロシア語学習を頑張りましょう☆