接頭辞+ крывать, крытьの形の動詞

接頭辞+ крывать の形のロシア語動詞をまとめます。完了体の場合は接頭辞+ крыть の形です。

代表的なものは「открывать:開ける」と「закрывать:閉める」です。
窓やドアの開け閉めの「開ける」と「閉める」ですね。
以下、詳しく見ていきましょう。

動詞 крыть(覆う、葺く)

крыть という動詞
不完了体・完了体の構造
自動詞・他動詞と、能動・受動の関係
動詞の活用 

крыть という動詞

крыть とは、材料等で「覆う」「葺く【『ふく』:板・スレート・瓦などで屋根をおおいつくる】」事を表します。塗料などでコーティングする事も表す場合があります。

открывать や закрывать といった単語はこの крыть という語に由来すると言われています。接頭辞の意味も考えると、何だか意味合いが分かる気がしますね。

動詞の語尾の活用の仕方は、現在形や過去形は通常の動詞と全く同じですが、完了体のほうの未来形は不規則的なものになります。

★尚、「крыша:屋根」という語も、明確な語源は判明していないようですが、
крыть と関連のあるスラヴ系の語由来と考えられているようです。

крыть
крыть :(材料等で)「覆う」「葺く【ふく】」   крыша:屋根

不完了体・完了体の構造

крыть の形は不完了体で、完了体は покрыть です。

他方、派生語の открывать や закрывать については
完了体が открыть と закрыть という形になります。

他の接頭辞付きの動詞でもよくあるパターンですが、見た目のつながりは
крыть【不完了体】→ открыть【(別の動詞の)完了体】 → открывать【 открыть の不完了体】
という感じになります。

簡単に表にまとめておくと次のような感じです。

крыть と
接頭辞がついた形の動詞
不完了体 完了体
крытькрыть покрыть
открывать
закрывать
скрывать
открывать
закрывать
скрывать
открыть
закрыть
скрыть

自動詞・他動詞と、能動・受動の関係

крыть に対して、крыться という語があります。【完了体: покрыться 】

これは次のような意味です。

  1. крыть の受動態の形
  2. 置いてある、転がっているなどの意味
  3. 転じて比ゆ的に、意味や意図が「隠されている」など

このように、よくあるパターンですが、 -ся が付く事で受動や自動詞的な意味に転じるというわけです。
【 ただし、-ся が付くと機械的にそういう意味に必ずなるわけではない事には注意。】

これは接頭辞がついた派生語についても適用できて、例えば закрывать に対する закрываться は「閉まっている(自動詞)」「閉められる(受動態)」のような意味になるのです。

ただし、-ся が付いた時の意味の変化は個々の派生語によって微妙に異なる事もあるので、あくまで参考的な考え方として捉えておくべきでしょう。
例えば открываться は открывать の受動態としての意味もありますが、自動詞的に使われる場合は「明るみに出る」といった比ゆ的な意味で使われる事が多いようです。

動詞の活用

動詞の活用については、じつは крыть の現在形はちょっとした「不規則変化」で、ы の部分を о に変える必要があります。不規則と言っても通常の違うのはそこだけです。(過去形は規則通り。)

他方、接頭辞をつけた動詞の открывать などは、不完了体に関しては現在形・過去形ともに全くの規則通りの変化です。

接頭辞をつけた動詞の完了体 открыть は、未来形の変化が крыть の現在形の変化と同じ方式になります。すなわち ы の部分を о に変えて変化させます。(これも、よくあるパターンです。)

表にまとめると次のような感じです。

крыть 現在形 過去形【通常通り】
1人称 単数:крою
複数:кроем
【主語が単数】
≪主語の性別≫
男:крыл
女:крыла
中:крыло
【主語が複数】
крыли
2人称 単数:кроешь
複数:кроете
3人称 単数:кроет
複数:кроют
открывать
【不完了体】
現在形 過去形【通常通り】
1人称 単数:открываю
複数:открываем
【主語が単数】
≪主語の性別≫
男:открывал
女:открывала
中:открывало
【主語が複数】
открывали
2人称 単数:открываешь
複数:открываете
3人称 単数:открывает
複数:открывают
открыть
【完了体】
未来形 過去形【通常通り】
1人称 単数:открою
複数:откроем
【主語が単数】
≪主語の性別≫
男:открыл
女:открыла
中:открыло
【主語が複数】
открыли
2人称 単数:откроешь
複数:откроете
3人称 単数:откроет
複数:откроют

接頭辞がついた形の動詞まとめ

もとになっている動詞の意味ゆえか、接頭辞をつけた場合でも「覆う」「閉める」的な意味のものと、その逆になる「開く」「はぎ取る・露出させる」的な意味のものになる事が多いです。そのため ここでは 、整理のためにそれらの意味の違いによって大別しています。

「閉める」「覆う」の意味合いの場合
「開ける」「露出させる」の意味合いの場合
その他の意味合いのもの
名詞・形容詞への派生

「閉める」「覆う」の意味合いの場合

具体的には次のようなものがあります☆

  • закрывать:閉める
  • покрывать:覆う
    ★ 完了体 покрыть は、上記の крыть の完了体と同形になります。
    ★ покрываться:雪や葉などで「覆われている」
  • прикрывать:閉める、封をする、カバーする、保護する
  • накрывать:覆う【テーブルクロス、食器類などで】
    ★ накрывать на стол:「食事の準備をする」 стол:テーブル、机
  • скрывать:隠す、秘密にする、隠蔽する
  • укрывать:【覆う形で】保護する、【人を】かくまう、守る
    ★ 例えば風雨を避けるために何かの下や中にいるような時です。
接頭辞+ -крывать(完了体:接頭辞+ -крыть)

接頭辞や前置詞の意味を考えてみると、「覆う」という感じに相性のよいものが「閉める」「覆う」「隠す」といった意味につながっているかもしれません。

за には色々な意味がありますが、「~のうしろに」「~を超えて」などは代表的なものです。
по にも色々な意味がありますが、その1つに「~に沿って」というものがあります。
接頭辞 при- には「到着」や「結合」の意味合いを語に加えます。

-ся が付いた形だと、受動態になる意味の他に「скрываться:隠れる、逃げる(≒избежать)」「прикрываться:自分を覆う、避難する、(悪い意味で)隠れみのにする」などの意味を持ったりします。

「開ける」「露出させる」の意味合いの場合

закрывать とは逆に、открывать のように「開ける」という意味や、「覆いをとく」「露出させる」という意味合いになる語もあります。例えば次のようなものです。

  • открывать:開ける
  • вскрывать:開ける、【比ゆ的に】暴く
    ★ 封筒を開ける時のように、切ったり裂いたりして「開ける」意味合いが少しあります。
  • раскрывать:開ける、さらす、露出させる、明かす、明らかにする

от や рас- (раз-) の意味を考えてみると、「覆う」という事の逆っぽい意味になる事は何となくつかみやすいかもしれません。

рас- (раз-) には散る・拡散するという事が、1つの意味としてあります。
от にも色々な意味がありますが、
何かの部分である事や、「~から(≒ с, со)」などを表します。

その他の意味合いのもの

上に挙げた語と関連はあるけれども、微妙に意味がずれたり意味が転じていると解釈できるものもあります。

例えば перекрывать はその1つで、次のような意味があります:

  1. 【屋根を】葺き直す(板などを取り換える)
  2. 重複する
  3. 超える
  4. 塞ぐ、せきとめる

これは開け閉めなどの対義語の関係のどちらかに属するというよりは、両者の意味合いが混ざってる感じがしますので、関連はあるけれども意味としては別途に捉えたほうが分かりやすいと思います。

名詞・形容詞への派生

これらの動詞は、名詞や形容詞の語を合わせて持つものも多いです。

形容詞の形の場合は、動詞の1つの形(過去分詞)と見なされる場合もあります。

例えば、名詞なら「укрытие:避難場所、シェルター」「покрытие:覆い、コーティング」「прикрытие:隠蔽」といったものがあります。скрывать に対応する名詞は少しだけ形を変化させ「сокрытие:秘密、隠す事、隠蔽」になります。

形容詞なら「открытый:開いている、公共の(≒общественный)」「раскрытый:露出している、明かされている」「закрытый:閉まっている、鍵がかかっている」「покрытый:覆われている」等があります。

открыто は店などが「営業中」の意味で「開いている」という表示に使われ、
закрыто は「閉店中」の意味での表示に使われる場合があります。
これら2語は、文法的には形容詞の短語尾形の1つの形(中性用)とみなされるか、副詞として使われる事もあるようです。例えば открыто は副詞として「開かれて、オープンに、率直に」などの意味で使われる場合もあります。

まとめ

では、今回取り扱った語をアルファベット順にまとめておきます。
(動詞の不完了体についてのみ記します。)

ввскрывать
ззакрывать
ккрыть
ннакрывать
ооткрывать
пперекрывать покрывать прикрывать
рраскрывать
сскрывать
уукрывать

他の「接頭辞+もとになる動詞」の形のロシア語動詞と同じく、これらの語をそれぞれ全く別の語として覚えるのは大変ですよね。しかし言葉の成り立ちを考えると、理解と慣れが早くなると思います。

それと、日本語で「開ける」・英語で「open」・ロシア語で закрывать ・・・・
何か、ロシア語だけ単語として長い気がしません?難しい概念ならともかく、こんな簡単な事を言うのに??
しかし上記のように語の成り立ちを考えると、ロシア語の場合でも本質的には「短い」ものであると捉える事が可能だと思うのです。
核になってるのは крыть で、しかもその中でも変化させない部分は「кр」の部分だけなのです。そこに、前置詞をもとにした接頭辞を添える形になっているわけです。そういった点に着目すると、感覚をつかみやすいかもしれません。
尚、ロシアの人が実際に話すのを聴くと、書き言葉だと一見長ったらしい語もじつに手短に言う事もよく分かるかと思います。(ロシアに行く機会がない場合は文法書付属のCD等の他に、動画の利用が便利です。)

では今回は終わります。引き続きロシア語の学習頑張りましょう。