修道士の方々の歌声を聴くと癒されます。
彼らによって聖歌がうたわれる時、男性の声が地上で最も美しく響き渡るように感じられます。
【※日本正教会では基本的に「讃美歌」という言葉は使わないとの事です。】
(※言語設定が日本語だと字幕は英語訳が表示されますが、ユーチューブの言語設定をロシア語に変えると字幕表示もロシア語表記になります。)
彼らはロシアのヴァラーム修道院の修道士たちです。
ロシアの正教会で使われる語は必ずしも現代ロシア語ではなくて教会スラヴ語という古い時代の言葉である事も多いので、その点に気を付けて、 主な語を整理すると次のようになります。
- Господь Сил:「万軍の主」[新共同訳] The Lord of Hosts【聖詠(詩編)24.10, 46.8 他、多くの箇所で使われる語】
★ Господь:主【男性】 Бог:神、創造主
★ 現代ロシア語の場合:сила「力」→ сил【複数形の生格】
★ 教会スラヴ語でも似た意味で、力や奇跡などの意味。現代の他のスラヴ語圏でも対応する語があり、似た意味。 - святой:聖人、聖なる 【名詞としても形容詞としても使用】
- помощник:助け、援助
★ помощь:助け 【現代ロシア語で、より一般的な語。女性名詞。】 - имать:得る、つかむ 【古語】
→ имаемый:得られる → имаем【短語尾形(男性)】→ имаемы【短語尾形(複数)】 - скорбь:悲しみ、嘆き 【現代ロシア語では女性名詞】
- разве:~でなければ 【教会スラヴ語由来】
★ 現代ロシア語での一般的な表現は если не 【если:もしも、~ならば】 - буди はここでは「быть:在る、いる」に対応する教会スラヴ語の単語の命令形
★ 現代ロシア語では буди は「будить:起きる、起こす」の命令形 - помиловать:憐れむ、赦す
★ → 命令形:помилуй
昔のロシア語の名詞には主格とか生格等の6つの格の他に「呼格」というものがあって、
「~よ」などを表すために使われたそうです。
- Иисус「イイスス[イエス]」 → Иисусе「イイススよ」
- Отец「父」 → Отче「父よ」
- Бог「創造主」 → Боже「創造主よ」
- Христос「ハリストス[キリスト]」 → Христе「ハリストスよ」
- Господь「主」 → Господи「主よ」
一区切り入れて、さらに見てみましょうか。
- хвалить:称賛する、ほめあげる
- утверждать:現代ロシア語では「賛成する、主張する、述べる」等の意味
★ утверждение:賛成、主張、宣言、断言、強化 - множество:非常に多くのもの、無数に多くのもの 【名詞】
- величественный:高貴な、偉大な
★ величина:値、尺度、サイズ、量 - глас:声 【古語】
★ голос:声 【現代ロシア語で、より一般的な語】 - трубный:トランペットの
★ 現代ロシア語では「パイプの」という意味のほうが一般的。
★ труба:①パイプ、管 ②煙突 ③トランペット、ホルン - тимпан:タンバリン струна:弦 кимвал:シンバル
- слава:栄光 (「名声」の意味も)
- благодарность:感謝 【女性名詞】
ヴァラーム修道院はロシアの修道院で、ラドガ湖という湖の中の島に建てられています。
- Валаамский монастырь:ヴァラーム修道院
- Ладожское озеро:ラドガ湖
- монах:修道士
- монахиня:修道女
場所的には、サンクトペテルブルクの北、ロシアとフィンランドとの国境近くという事になります。
尚、修道は男性の信徒だけによって行われるのではなく、「修道女」の方々もいらっしゃいます。
こちらは、修道女の方々が歌っているものです。
こちらの教会はロシアではなくベラルーシのミンスクにあります。比較的新しいようです。
彼ら彼女らの歌声を聴く事で、教会は聖なる人が集まるのではなく、教会に集まる人が聖なる者にされていくという事が感覚的に実感できるような気がします。もちろん、動画だけでは伝わり切らない部分もあるわけで、オーソドックスでの基本原則は自らが教会に出向いて体験をするという事である事に変わりはないです。
では今回は終わります。ご覧いただきありがとうございます~
■参考:ヴァラーム修道院公式サイト(ロシア語)