ロシア語を眺めてると、об で始まる色々な単語が目につきます。今回は、それについて調べたので、まとめます!これには、「社会」「議論」といった、割とよく使う単語が含まれています。
★ この 、単語の頭につく об は о の変形である事があります。ただ、 о で始まる単語全てに目を向けると範囲が広すぎるので、今回は主に об に注目します。
★ об や о は前置詞としても使われます。
общ で始まる単語
まず、общ をひとまとまりとして始まる単語があるので、それを見ますね。これには「社会」や「コミュニケーション」などを表すロシア語単語が含まれます。
общий(共通の)
общий:「共通の、全体の、一般的な」という意味の形容詞があります。
これをもとに、「社会」などの単語が派生していると言われます。じつは、この общий という単語は、 これ以上に語源的に意味を分解する事は難しいようです。そのため、この単語からの派生語は、 об というよりは общ を1つの意味として考えるべきでしょう。
общ- で始まる色々な単語
では、общ- で始まる単語を見てみましょう。
割と良く使われる単語が多いと思うので、覚えておくと便利です。

- общество:社会 【「会社」を表す事も】
- община:共同体、コミュニティ
★ сообщество も同じ意味で使われます。со【前置詞】:~から - общение:コミュニケーション
- общаться:やりとりする、会話する、コミュニケーションする
★ рассказывать:「伝える、教える、話す」 - общественный:公共の
★ социальный(→ social)も用いられます。 - общественный деятель:社会活動家
- общительный:社交的な
これらの単語を1つ1つ独立して暗記するのは大変ですが、共通の意味合いがある事が分かれば、相当楽に理解できるのではないでしょうか?これらの語はロシア語の記事等でもちょこちょこ出てきますので、意外にも慣れやすいでしょう。
前置詞の意味に近い接頭辞の о- , об- がつく単語
об (および о )自体に接頭辞としての意味がある場合もあり、その意味は об および о を前置詞として用いる時の意味に関連します。
■ 「~の周りに、~の周囲に」の意味
■ 「再度・・」「失敗して・・」等の意味を付加する
■ 前置詞の場合の意味
「~の周りに、~の周囲に」の意味
まず、周りとか周囲に関連する意味です。「回転する」「回す」などの動詞が該当します。また、回すという事から転じて「変える」といった意味になる単語もあります。

о , об で始まる単語の意味が分かりやすくなる場合があります。
- оборот:回転、Uターン 転じて、種々の事の「変化」も表す
★ оборотить:まわす、回転させる【それで向きを変える】 - обегать:走りまわる о + бегать「走る」
★ 完了体:обежать 【обежать → о + бежать】 - обходить:(街中等を)移動してまわる、避ける、抜ける等の種々の意味【完了体:обойти】
- обернуть:包む、巻く、(顔などを)向ける
- оборачиваться:引き返す、振り向く
★ оборачивать:向ける、ひっくり返す、等の種々の意味 - обращать:変える、入れ替える、向ける 【完了体:обратить】
★ 名詞形は обращение
★ 後述する語にも関連しますが、より一般的な「変える」は менять - обитать:生息する、【生き物が】住む
★ 名詞形は「обитание:生息」 - обочина:道路脇、路肩
「周り」というイメージはつきにくいかもしれませんが、「議論する」なども当てはまると言われています。このイメージに関連すると思われる他のいくつかの語も挙げておきます。
- обсуждать:議論する、話し合う 【完了体は обсудить 】
об + судить「判断する、裁く」
★ 似ている語で、осуждать は「批判する、責める」の意味です。 - обыскивать:捜索する 【完了体は обыскать】
об + искать「探す【より一般的な意味】」 - обыскивать:捜索する 【完了体は обыскать】
об + искать「探す【より一般的な意味】」 - обходиться:扱う、管理する、事を進めるなどの種々の意味。転じて「仲良くする」という意味も。обходиться без ~:~なしでやる、~なしで進める
- обобщить:要約する、概略化する
★ обобщение:要約、概略
★ 前述しましたが、общение は「コミュニケーション」の意味です。 - обручальный:婚約の、ウェディングの
また、「область:分野、領域、範囲、区域・・」などもおそらく関連のある語だと思われます。ただし、この語自体はスラヴ系の古い言葉からの派生という以外にはあまり語源的な説明はつけられていないようです。
★ この область という語は、ロシアの「州」の事も表します。
例えば Мурманская область は「ムルマンスク州」、
Московская область は「モスクワ州」の事です。
もちろん、ニュースなどをはじめとして、様々な場面でよく使われます。
誰々に対して「何かを課する」といった意味合いを持つ事もあります。
- обязывать:強制する、義務を課する
- обложить:課する【税金などを】
★ ложить:置く、横たえる
★ налог:税
「再度・・」「失敗して・・」等の意味を付加する
ある動詞に、再び~し直すとか、失敗して~しする・・とかいった意味を付加する事があります。
この用法では об で始まる語が比較的少ないので、一般の о で始まる単語で同じ用法に語の例も記しておきます。
- обновление:刷新、リニューアル、アップデート новый:新しい
★ こちらは「再び」のほうの用法。 - оговориться:言い間違える、口を滑らせる говорить:言う、話す
★ こちらは「失敗する」のほうですね。
- одматься:考え直す、思い直す думать:考える、思う
★ 後述するように、обдумывать「熟慮する」という別の語もあります。 - опомниться:意識・理性を取り戻す помнить:覚えている、記憶している
- облегкчение:安心、軽減、簡易化 лёгкий:軽い
- обучение:訓練、教育 учить:教える учитель:教員
★ учение は「理論」「教義」「教える事」等の意味で使われます。
★ 後述もしてありますが образование という語も「教育」を表します。 - обмен:両替【ドル → ルーブル等の】 об + менять:変える、更新する
★ 動詞形「両替する」は обменивать - обкрадывать:奪う、盗む 【完了体:обкрасть】красть:盗む
- обдумывать:熟慮する、よく考える думать:考える、思う
- обдуманный:故意の、よく考えられた 【これも думать 由来。】
- обвинить:強く批判する、とがめる、非難する винить:批判する、責める
★ 同じような意味の語として「обличать:非難する、あばく」があります。
★「обижать:攻撃する、侮辱する【完了体:обидеть】」という語もあります。 - облить:かける、一面にこぼす лить:注ぐ、こぼす
- оборона:守り、ディフェンス
- облако :雲
- оба:両方の
- образ:イメージ、像、ファッション
- образование:教育、構成
- обзор:調査、レビュー、概要
- обаяние:魅力
- обладать:所有する、有する
★ ロシア語では「~を持っている」は前置詞 у を使っても表せます。 - обычный:いつもの、習慣的な
★ обычно:いつもは、通常は、習慣的には
これはおそらく、前置詞として使う場合の(物理的に)「~に対して」の意味と関係があると思われます。
あるいは、「周囲の」という意味から、元の位置に戻ってくるという連想もあるかもしれませんね。
「обратный:逆の、反対の」なども、この о, об の用法のグループに含めてもよいかとも思いますが、これは оборотить「回す」からの派生とも考えられるでしょう。
また「обманывать:だます、欺く」「 обман:だまし、欺き 」などの語もマイナスのイメージからの関連性を匂わせますが、判定は難しい所です。
厳密にどちらであると断定する事は難しい場合も多いので、複数の意味合いが含まれる事もあると解釈するのが現実的な学習の中では最も無難かと思います。
前置詞の場合の意味
最初にも簡単に触れましたように、 о または об は、前置詞としても使います。この場合、「~について」という意味の事が多いですが、「周囲」と関連するものと考えられるでしょう。この場合、名詞は前置格にします。
その意味でのつながりかと思いますが、主に物理的な意味で「~に対して」という意味である事もあります。例えば、窓に対して寄りかかる、壁に対して寄りかかる・・などです。その場合、名詞は対格にします。

名詞や形容詞から派生する動詞の頭につく
■ 形容詞・名詞・動詞から派生して別の名詞を作る
■ 「完全に」「深く」などの強調の意味を添える
■ 性質を表す形容詞や名詞から、動詞を作る
形容詞・名詞・動詞から派生して別の名詞を作る
接頭辞の об- をつける事で、形容詞などの意味から派生してできている単語もあります。これらの語はそのまま覚えるよりも、別の語からの派生と考えるほうがはるかに意味を捉えやすくなるでしょう。
「完全に」「深く」などの強調の意味を添える
これは少し捉えにくいですが、もともとの動詞に強調的な意味を添えて、別の動詞を作る場合もあります。「考える」→「熟慮する」などです。意味としては同じと言えば同じなのですが、微妙なニュアンスを変える事になりますね。
また「объявлять:宣言する、発表する」といった語も、この用法での об- の意味を思わせるものがあります。
性質を表す形容詞や名詞から、動詞を作る
この用法は、特定の性質になるといった意味を持つ動詞を作るものです。例えば、об ではなく о をつける例ですが、「金(マネーではなく「きん」):золото」という語にこれを適用して、「裕福になる」という意味の語ができたりします。
озолотиться:裕福になる о + золото + -иться のような成り立ちと考える事ができます。
その他の об で始まる単語など
その他に、上記のような意味はないと思われるが об で始まる単語もあるので、記しておきます。重要単語も含まれますね。
また、最初に触れましたが、基本的に об は о の変形なので、о で始まる単語には上記と同様の意味がある場合があります。例えば「окраина:郊外」は、 о と「край:境界、端、縁」に分ける事ができます。

まとめ
さて、これらを見てみると、意味として「なるほど!」と納得いくものと、いまいち説明がつきにくいものとに分かれているかと思います。
全てを例外なく語源から覚えようとするのではなくて、その説明で分かりやすくなるものについては積極的に語源や単語の成り立ちを活用すべきかと思います。
語源というのは、じつは言語学では一般的に(ロシア語に限らず)正確な事を明確にするのは結構難しいのです。おそらく正しいだろうと思われる説明でも、その確かな証拠を示すとなると、かなり面倒です。また、ものによっては語源をたどる事が難しい語もあります。
いずれにしても、このように整理してみると、一見覚えにくい多くの単語についてもかなり見通しがよくなるのではないでしょうか?
それでは今回はこれで終わります。引き続きロシア語の勉強頑張りましょう~。