ロシア語の関係代名詞 который

今回はロシア語の関係代名詞について説明します!
重要な事項ですが、慣れれば難しくないと思います。

ロシア語の関係代名詞 который の使われ方

関係代名詞の基本的な考え方
英語の場合との比較①:文章ではコンマを打つのが標準
英語の場合との比較② :関係代名詞 который は「格変化」する  

「彼女が『僕が昨日会った』学生です。」などと言う場合に関係代名詞を用います。
ロシア語では который という語を使います。これは人に対してもそうでない名詞にも使えます。
関係代名詞自体を格変化させる点などは、現代英語の場合と感覚が少し違います。

関係代名詞の基本的な考え方

関係代名詞とは、要するに何かの名詞を文章の形で直接修飾する役割を果たします。例えば、「彼は学生だ」という文の「学生」の部分を「私が昨日会った学生」というふうに修飾して「彼は『私が昨日会った』学生だ。」などと言う場合に関係代名詞を用いるのです。 英語の場合は、名詞の後に which, who, that を関係代名詞として置く形で表現されます。他の西欧言語にも関係代名詞があります。【個人的には、この「関係代名詞」という日本語での呼び方は必ずしも適切でないように感じますが・・】

東欧言語のロシア語でも、基本的な考え方は同じです。まずてきとうな名詞があって、その後に関係代名詞 который を持ってきて、文章を続けます。対象の名詞が人であっても人でなくても、どちらの場合でも使えます。この語は、疑問代名詞として「どの~?」としても用いられます。

この時、関係代名詞の部分は、くっつけるほうの文章の中で主語の役割をする事もあれば、目的語の役割である事もあります。また、後述するように前置詞と組み合わせる場合なども含めて、ロシア語では関係代名詞は6つの格のいずれにもなり得ます。

英語の場合との比較①:文章ではコンマを打つのが標準

英語の場合との比較を言うと、まず1点目は簡単な事で、ロシア語では関係代名詞 который を文章で用いる時には修飾する対象の名詞の後にコンマを打ちます。

英語の場合でも文章で書く時に関係代名詞の前にコンマを打つ場合もありますが、これはコンマを打つ場合と打たない場合とで表現として少し違うものになります(似ていますが)。

他方、ロシア語の場合はコンマを打つ事が、一般的な関係代名詞の使用方法として標準的という事です。関係代名詞を用いる時には基本的には習慣でコンマで区切るという事を知っておくと、文章の形のロシア語を読みやすくなると思います。

また、間接的な事ですが、ロシア語では「~である」の意味での英語で言う be(am,is,are) を省略して直接名詞と名詞をつなげる習慣があります。この習慣が関係代名詞と組み合わさると、初見だと文章の形をなしているように見えなくて、分かりにくいと感じる面もあるかもしれません。

英語の場合との比較② :関係代名詞 который は「格変化」する

2点目は、名詞の修飾のためにくっつける文章の中での役割に応じて、関係代名詞 который を格変化させる習慣があるという事です。

これは、ごく簡単に言うと次のように考えます:

который を格変化させる時の基本的な考え方
  1. который の部分を具体的な名詞で置き換えてみてる。
  2. くっつける部分の文章を単独で考えてみる。
  3. который に相当する名詞の「格」を把握する。(主格、対格、生格、・・)
    【名詞の性別にも合せるので注意。】
  4. その格に応じて、который を格変化させて用いる。

現代英語の場合でも、くっつける節の部分の中で関係代名詞が(人で)主語の役割である時は who, 目的語である場合は whom を用いる習慣が一部残っていますが、基本的にはその考え方の延長と捉えてよいかと思います。

ただしロシア語では、その変化というか使い分けの種類が多いのです。これは初見ではすごく分かりにくいとは思いますが、形容詞の格変化にある程度触れていると難しくは感じないと思います。(その場合も面倒である事には変わりないと思いますが・・)

который の格変化の表・・形容詞と同じ

格変化の表 
格変化させる時の、形容詞の場合とのちょっとした違い

格変化の表

関係代名詞 который の格変化は、形容詞と同じように考えます。
具体的には、холодный「寒い」などの(- ый 語尾の)形容詞と同じ形の格変化と同じです。

ですので、形容詞の場合に慣れていれば全く同じですから、面倒ではあっても難しくはないと思います。(もっとも、形容詞の場合に慣れるのが初めは大変かと思いますが・・・。)

参考までに、 「холодный:寒い」の格変化と並べて記しておきますね。
尚、который を疑問代名詞として用いる時も同じ格変化です。

格\名詞の性 男性 女性 中性 複数
主格 который
холодный
которая
холодная
которое
холодное
которые
холодные
対格 活:которого
  холодного
不:которого
  хородный
которую
холодную
которое
холодное
活:которые
  холодные
不:которых
  хородных
生格 которого
холодного
которой
холодной
которого
холодного
которых
холодных
与格 которому
холодному
которой
холодной
которому
холодному
которым
холодным
造格 которым
холодным
которой
холодкой
которым
холодным
которыми
холодными
前置格 котором
холодном
которой
холодной
котором
холодном
которых
холодных

このように各変化します。形容詞の場合と同じく、複数形の場合は男・女・中性を問わず一貫して「(名詞の)複数形」に対して使う形があります。

「性別」に関する項については、 который に当てはめる名詞の性別によって格変化も決定します。ロシア語では名詞の性別の判定は難しくないので、関係代名詞のほうの変化も感覚をつかむと、意外と難しくないかもしれません。

格変化させる時の、形容詞の場合とのちょっとした違い

上記のように、который の格変化自体は、形容詞と全く同じ格変化であるわけですね。

ただし、形容詞の場合もそうですが、который 自体に性別等があるわけではなく、名詞に対して性別があり、文章の中での主格、対格、生格、・・といった役割があります。

形容詞の場合は、形容詞が修飾する名詞の性別と格により、形容詞のほうの格変化も決まります。
他方、который の格変化はどうでしょう。

まず、性別に関しては、修飾する対象の名詞から判定できます。

次に主格・対格・生格・・の区別は、修飾する対象の名詞そのものの格ではなくて、「修飾する内容の文章(「関係代名詞節」)において который の部分に名詞を入れて見た時」の格です。

「彼は『私が昨日会った』学生だった」の文だったら、『私は昨日「彼に」会った』という部分に合わせて который の格を合わせます。

ちょっと分かりにくいところもあるかと思いますが、具体例の中で実際にどういう基準で変化をするのかを見ると、それほど難しくはないと思います。

いくつかの例文と関連事項

例文①:который を主格として用いる場合
例文②:который の格をどの部分に合わせるのか?
例文③:который を主格以外で用いる場合と前置詞との組み合わせ  

例文①: который を主格として用いる場合

では、いくつか例文を見てみましょうね。まずは、 который を主格として用いている場合です。一番分かりやすいと思います。

Малчик, который стоит у дерева, мой брат.
「木の側に立っている男の子は私の弟です。」
ここでは который =「малчик:男の子」【主格】
дерево:木 стоять:立つ → стоит

「Малчик мой брат. 」と「 Малчик стоит у дерева.」という2つの文を1つにしているわけです。
который の格は「男性・主格」です。もちろん「 малчик:男の子」に合わせているのです。

では、「男の子」を「女の子」に変えるとどうなるでしょうか。 次のようになるのです。

Девочка, которая стоит у дерева, моя сестра.
「木の側に立っている女の子は私の妹です。」
которая =「девочка:女の子」【主格】

基本的には、こんな感じで使えばいいわけです。
主格の場合、修飾する対象の名詞が中性名詞であれば которое,
複数形であれば которые を使えばいいわけです。

英語等に慣れている場合は、それほど難しくないと思います。
しかしそれでも分かりにくいかもしれないのは、主格でない場合ですね。

例文②:который の格をどの部分に合わせるのか?

который の格変化の考え方の基本は前述いたしましたが、
一体どういう事なのかを具体例でもう少し詳しく見てみましょう。

こんどは、ちょっとツイッターのツイートを見てみる形で具体例に触れてみましょうか。

これは、なんかトルコ政府が行ったというツイッターでの措置に関する記事ですね・・。

このツイートの文では、「アカウント: аккаунтов【複数】」と「情報:информация」の後で関係代名詞を「主格」として使用しています。その点は、上述の例文と同様です。

まず前半のほうですが、
・・аккаунтов, которые якобы ・・
которые = аккаунтов 【関係代名詞は主格・複数形】

他方で後半の方は、次のようになっています。

・・информацию, которая была・・
котораяинформация 【関係代名詞は主格・女】
ただし、文章中では информация は информацию【対格】の形。

つまり、関係代名詞の格は直前の名詞の格ではなくて、関係代名詞節の中での関係代名詞の役割で決めるというわけです。
ここでは、которая была・・ → информация была・・
・・という事ですから、関係代名詞は主格として扱うわけです。

  • власть:権力、当局、政府 【女性名詞】
  • назвать:名付ける、~と呼ぶ
  • «пропагандистской машиной»:「プロパガンダ・マシーン」・・と、呼んだみたいですね
  • блокировка:ブロック、ロック
  • семь тысяч:7000
  • турецкий:トルコの якобы:疑いのある【副詞】 распространять:広める
こちらは、ある人の絵に対するツイートですね。

・・ картинку, которая по тону напомнила・・
котораякартинка 【関係代名詞は主格・女】
この場合、картинка は картинку【与格】ですが、関係代名詞のほうは主格というわけです。
その判別は、関係代名詞以後の文の内容で決める事になりますね。

・・と、まあ、文法的にはそういう説明になりますが、各語の意味さえ分かっているなら、自分で読むときにはそういった「言葉での説明」は省いてどんどん続けて読んでいきましょう。前後のつながりとしては要するに修飾関係になっている事が感覚的につかめていればじゅうぶんです。

  • картинка:絵、画像
  • тон:トーン
  • напомнить:似ている、思い起こさせる помнить:覚えている
  • Брейгеля:西欧の人「ブリューゲル」のロシア語表記。
  • художник:画家、芸術家 замечательный:素晴らしい、かっこいい、称賛に値する
  • Евгений Ройзман:エカテリンブルクの市長(2013-2018)をやってた人ですね。

例文③: который を主格以外で用いる場合と前置詞との組み合わせ

最後に、関係代名詞のほうを主格以外の格で用いる場合の例文を挙げておきましょう。

まずは対格の場合です。

Книга, которую она мне дала вчера, интересная.
которуюкнига 【関係代名詞は対格
「彼女が『昨日私に貸してくれた』はおもしろい。」
книга:本 вчера:きのう давать → дать【完了】→ дала【過去】:与える、貸す

次に、生格の場合も見てみましょうか。
これは、目的語として対格を用いる場合でも、それが否定文になると生格を用いるというパターンです。こういうパターンで関係代名詞を生格にする事は結構あるのかもしれませんね。

Ко мне пришёл друг, которого я давно не видел.
которогодруг 【関係代名詞は生格
друг:友達 видеть:見る、会う(ここでは後者の意味)
приходить:来る → пришёл давно:長い間【副詞】
「『長い間会っていなかった友達』が私のところにやって来た。」

また、関係代名詞 который を前置詞と一緒に用いる事もあります。この場合、その前置詞が「要求」する格に который に合わせます。性別は修飾する名詞と同じです。

この場合で、前置格を用いる場合を見てみましょうか。
前置詞 o 「~について」を使う時などが該当します。

Это его друг, о котором я вам рассказывал.
которомдруг 【関係代名詞は前置格
его:彼の рассказывать:伝える、話す
「こちらが、『僕があなたにお伝えしていた彼の友人』です。」【※構文的には「彼の」はもっと前の位置】
→ 日本語訳にすると分かりにくくなりますが、単独の文だと「僕が友人について伝えた」のようになり、
前置詞を用いるわけです。

与格や造格についても考え方は同じで、例えば前置詞 с「~と一緒に」を用いる時は名詞は造格にしますから、друг, с которым я ・・「私と一緒に・・する友人」といった表現があり得ます。
которым:【造格】

関連事項として、文法的には関係代名詞や関係副詞とは呼ばれないのですが意味的に似た表現として「前置詞 + 指示代名詞, что ・・」という形の表現もよく使われます。この場合の что は文法的にはあくまで接続詞で、補語の内容を示すといった解釈で扱われるようです。ただし、使い方としては実質的に関係代名詞等の働きに似ています。この用法で что の代わりに кто(「誰」)を使う時もあり、その場合などは意味的にも用法的にも英語での関係代名詞にかなり近いですね。

それでは今回は終わります。ご覧いただきありがとうございます!

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