ロシア語の数(число)と個数詞

まず、「箱にりんごが2個入ってる」「本を5冊買った」「学生は全員で100人いる」・・などの意味で用いる「数」(число)について見てみましょう。(文法的には「個数詞」と言います!)

個数詞の主格と対格・・1~10まで

1~10の、具体的な数の表現

ロシア語では、数詞の表現はかなり面倒な文法事項と認識されているようで、実際、細かく見ると結構めんどうです。まず、「『2匹のネコ』がいる」「私は『5冊の本』を買った」などの表現のような場合の、「主格」と「対格」の中で使われる数詞の形を見てみましょう!これが一番簡単です!

1~10までの個数詞(主格と対格)

1:один,одна(одну), одно, одни  2:два, две 3:три 4:четыре 5:пять 6:шесть 7:семь 8:восемь 9:девять 10:десять

яблоко:りんご кот:猫(オス) стул:椅子 уголок:角、すみ палец:指 下記に述べてありますように、これらの名詞は「2」以上の個数詞がくっつく場合は独特の格変化をして、形が微妙に変わります。

ちなみに「ゼロ」の事は、名詞としても個数詞としても、ноль と言います!

★「ん?『主格』と『対格』という事は生格や前置格とかもあるの・・?」と思われるかもしれませんが、まさにその通りです!たかが数字の扱いでなんでこんな複雑なのか、現地の人は本当に使いこなせているのか?などとも思ってしまいますが、一緒に勉強しましょう!
★ 人数や個数という意味での「数」は число と言いますが、電話番号のような「番号」の意味での数字は、номер と言い、これは旅館などの「部屋」「客室」などの意味もあります!

さて、数字を頑張って覚えればいいだけなら話は単純なのですが、じつはロシア語では個数詞に続く名詞や形容詞の「格変化」(語尾などの形の変化)を考える必要があって、これが結構面倒です。(※これは、後述の数詞自体の主格・生格・与格・・の格変化とは、また別です!)

以下、その事について説明いたします。

1~10の個数詞の主格と対格

文法的には、「1」と「2,3,4」と「5以上」が、続く名詞や形容詞の格についての規則が異なっており、グループ分けされています。
【☆ また、対格場合は名詞が人・動物(「活動体」)かそれ以外の物(「不活動体」)かで、扱いが異なります。ここでは、まず「不活動体」の場合を述べます。】

  • 1:один одна одно одни それぞれ、名詞が男・女・中・複数かで使い分けます。
    続く名詞や形容詞は、
    • 主格として用いられていればそのまま主格の形
    • 対格として用いられていればそのまま対格の形 とします。要するに、数詞がない時と同じ扱いにします。もちろん、単数形です。(1なので!)
      ★「複数形」に対する1の形 одни は一体何のためにある?という話にもなりますが、
      これは「ハサミ」ножницы のように、複数形で常に扱われるけれども「1つ」と数えたい場合に使うそうです!
      ★одна だけは、対格として用いる時は одну にします!
  • 2:два две 3:три 4:четыре
    【「2」については、続く名詞が男・中・複→ два  名詞が女→ две 】
    この場合、名詞は単数の生格にします。複数あるのに「単数形を使う」んですね・・。
    さらに、その名詞を修飾する形容詞がある場合、これの格変化もあり、次のようにします。
    • 修飾する名詞が男・中なら → 形容詞は複数の生格
    • 修飾する名詞が女なら → 形容詞は複数の主格 にします。 ・・まあ、これは正直、分かりにくい規則ですね!例文については後述します。
  • 5:пять 6:шесть 7: семь  8:восемь 9:девяать 10:десяать
    この場合、続く名詞も形容詞も、複数の生格にします!
    これは、2~4の場合よりは、少しはすっきりしてますね!

名詞の具体的な格変化の仕方につきましては、以前書いた前置詞についてまとめた記事の中で詳しく表にしてまとめていますので、参考にしてください!

名詞の「生格」とは?

ここで、「2」以上の場合は個数詞に続く名詞等を「生格」にするわけですが、生格とは何かというと、例えば「『町の』地図」という場合の『町』という名詞の形が生格になります。

  • карта「地図」 город「町」【主格】 → карта города「町の地図」【「町」を生格にする】
  • деревня「村」【主格】→ карта деревни「村の地図」 【「村」を生格にする】

また、特定の前置詞に続く名詞を生格にもします。
その種類の前置詞は、
у из с от до после около против без по
・・など、結構たくさんあります。
例えば、「窓際にネコがいる」という場合、У окна есть кот. となりますが、
у окна「窓際に」の部分で окно「窓」【主格】→ окна【生格】
という、ちょっとした変化が生じます。
しかし言い換えると、このように名詞の生格というのは、初歩的な表現でもかなり多く使うものであるという事です。

名詞が活動体の場合の、個数詞の対格

個数詞に続く名詞が「活動体」の場合の、個数詞の「対格の形」についても述べておきます。
これは「1人」「1匹」を「対格」で用いるという場合の「1」の形です。
その場合も、「1」「2,3,4」「5以上」の3グループに分けて考える事ができます。

  • 1の場合:
    • 名詞が男・複数:個数詞は、後述する「生格」の形にします。
      すなわち、男:одного 複数:одних という形になります。
    • 名詞が女:名詞が不活動体の時と対格と同じく、одну になります。
    • 名詞が中性:この場合は、主格と全く同じになり、одно です。
  • 2,3,4の場合:
    この場合は、「生格」と同じ形になります。
    すなわち、2:двух 3:трёх 4:четырёх になります。
  • 5以上の場合:
    この場合は、基本的には対格は主格と全く同じ形です。
    ただし、後述しますが32のような半端な数の場合は「30」と「2」を組み合わせるので、それらについては1の位の個数詞は通常と同じく格変化します。
    つまり、もし「32人」を対格として使うなら、「2」の部分はдвух(生格と同じ)にします。
    それに対して、「30人」の場合の「30」は対格は主格と同じ形でよいのです。
    ※このページの最後で触れていますが、32のような場合には、30と2を両方とも格変化させる決まりですが、対格の場合は20とか30とかの形が主格と同じなので、実質的に変化するとすれば1の位の1~4だけという事です。

1~10の個数詞を使った具体例

はい、では具体的に見てみましょう!!

2匹の猫が窓際にいる」と言う場合は、
У окна есть два кота . 
два:2  кот は男性名詞で、これがもし кошка (雌ネコ)であれば две を用います。
есть :~がいる、ある【現在形は単・複・性別で変化なし】 кот:猫(♂) окно:窓 у:~の傍に【前置詞】
この時、 кота というのが、 кот の主格の複数形ではなくて生格の単数形なんですね。
※2匹いるけど単数形・・というのは、少々紛らわしいですね。もし「主格の複数形」であれば、коты という形になります!
名詞の格変化と生格の作り方は、前置詞に関するまとめで表にして整理してあります。

この例では、「窓」という語が у の後に来ているので生格になっているのですが、
それだけでなく「猫がいる」という、普通なら名詞が主格になる部分においても、
「2匹の猫がいる」の場合は名詞が生格になる・・というわけです。

ここでの例では яблоко が中性名詞(語尾が о )、残りの кот, стул, уголок, палец はいずれも男性名詞(語尾が子音)です。名詞が男性・女性・中性・複数形かで格変化の仕方が異なります。

確かに、これは問題として問うと間違えやすいので、試験には出しやすいでしょうねえ・・。まあしかし、試験に受かるために外国語を一生懸命覚えるという事は、ロシア語でも英語でもどの外国語でも本末転倒なので、ロシア語を学んでいる方々は目的を勘違いしないようにしましょう。

「昨日本を5冊買った」と言う場合は、
Вчера я купил пять книг.
вчера:昨日 я:私 купил:買った【※過去形の「完了体」】
ここでの「本」のように目的語に来る名詞は「対格」にするのが基本なのですが、数詞がつく場合は対格ではなく生格ですよ!というわけですね。

книг というのが、 книга「本」の、対格の複数形ではなくて生格の複数形という事です。

※もし「対格の複数形」であれば、книги という主格の形と全く同じになります!大変ややこしいのですが、「不活動体の複数形」なので主格の複数形と同形・・という判定の流れです。
尚、 книги という形は、生格の「単数形」と同形になります。ややこしいですね。

形容詞がつくある場合は文法の規則はさらにいやらしくて、
「かわいい猫ちゃん(♀)が2匹窓際にいる」と言う場合、
У окна есть два милые кошки.
となりますが、

  • кошка「猫(♀)」 → кошки【単・生格】に対して、
  • милый「かわいい」 → милые【複数・主格】

・・という、格変化をしているという事ですね。もっともこの場合、形容詞は「主格」ですから、変化をしていないと言うべきかもしれませんが・・。

しかしながら、2~4の場合でも、名詞が男・中性の場合は、
У окна есть два милых кота.
のようになります。扱いが違うのは形容詞の格変化の部分です。

  • кот「猫(♂)」 → кота【単・生】に対して
  • милый「かわいい」 → милых【複数・生格】・・となるという事ですね。

これは結構分かりにくいですが、どちらにせよ形容詞は複数形であるという事は、形容詞自体の格変化で性の部分は考えなくてもよいという事ですね。

こういった事はかなり面倒ですが、ロシア語の文章を読むときは、単語の意味さえ把握してるなら仮に格の変化の規則を忘れていても意外と意味は分かるものです。格変化を覚えていないとロシア語の文章を理解できないというよりは、実際のロシア語に慣れる事で格変化の仕方も身に付いて行くというのが実際のところかと思います。もちろん、ここで説明しているような基礎知識を踏まえておくと、実際のロシア語の文章に触れる時にも分かりやすくなります。

「多くの」「多くは無い」「少しの」に続く名詞の格の扱いも大体同じ

個数詞だけではなく、「多くの」:много、「多くは無い」:не много、「少しの」:мало などに続く名詞も、主格・対格として用いるところにある場合は、複数形の生格にします。
また、疑問などで使われる「いくつの」:сколько や、 「いくつかの」:несколько(英語で言うと some, several)も同様で、後に続く名詞を複数形の生格にします。

個数詞の主格と対格・・11~100万まで

それでは続いて、11以上の個数詞の主格と対格について見ていきましょう。続く名詞や形容詞の格変化は、全て「5以上の場合」として扱われます。

11から999まで

11~20までの数は、「дцать」という形の語尾がつきます。
例えば11は одиннадцать 、12は двенадцать です。

11~20までの個数詞(主格と対格)

11:одиннадцать 12:двенадцать 13:тринадцать 14:четырнадцать 15:пятнадцать 16:шестнадцать 17:семнадцать 18:восемнадцать 19:девятнадцать 20:двадцать 

ちょっと長い単語が多いのですけれど、
одиннадцать → один на дцать
のように3つの部分に分かれてると見ると、少し見やすいかもしれませんね。

では次に、21以上の個数詞の主格と対格を見てみます。21、22、23・・などは、「20」двадцать に、1や2や3を、そのまんまつなげればいい事になっています。特に形は変化しないので、これは分かり易いかと思います。

  • 21: двадцать один
    (名詞の性に合わせて двадцать одна 、 двадцать одно 、・・などとします )
  • 22: двадцать два ( 女性名詞に対しては двадцать две )
  • 23: двадцать три
  • 24: двадцать четыре
  • 25: двадцать пять
  • 26: двадцать шесть
  • 27: двадцать семь
  • 28: двадцать восемь
  • 29: двадцать девять

31とか35とか、48、55、77、・・こういうものも、同じ作り方になります。(これに関しては英語と同じですね。)

★文法的には、23や35のような半端な数のように、
個数詞を組み合わせて1つの個数詞とするものを、合成数詞と言います。

さて、ということは、20以上の数の個数詞については、30とか40とか、そういうピッタリの数の言い方が分かればよいわけですね。

という事で、次は30から90まで10の倍数であるものについて見てみましょう。
(補足的に、再度20も入れておきます。)

30~90までの個数詞(主格と対格)

20:двадцать 30:тридцать 40:сорок 50:пятьдесят 60:шестьдесят 70:семьдесят 80:восемьдесят 90:девяносто 

こうして見ると、20と30は同じような形、40だけが少し変わっていて、50~80は同じグループ、90がまた少しだけ違うという感じですかね。

100~900の個数詞(主格と対格)

100:сто 200:двести 300:триста 400:четыреста 500:пятьсот 600:шестьсот 700:семьдесот 800:восемьсот 900:девятьсот 

500:пятьсот のように、1ケタの数を基本にして、сто сти ста сот という語尾になっています。

1000と100万

1000以上の数については、数の単位としては千と100万があります。
1000が1000個集まって100万ですね。

1000と100万の個数詞(主格と対格)

1000:тысяча
100万: миллион (ミリオン。英語と同じですね)

1~900までの個数詞と異なり、
1000や100万を表す部分は「名詞」として扱われて形が変化します。

これはどういう事でしょうか?
例えば「2千」を表したい時に、まず2:две を用意します。
(※ тысяча が女性名詞なので два ではなく две を用います。 )
次に「千」の部分を持ってくるわけですが、
これが「2匹の猫」「2つのイス」のような通常の名詞のように格変化するという意味なのです。つまり、「2千」「3千」「4千」の場合は、「『千』の部分を単数の生格にする」わけです。

ですので、 1000:тысяча → 2000: две тысячы というふうになるわけです。

2500とか2020などと言う場合は、 2000: две тысячы の後に普通に個数詞をくっつけて、そのあとに続く名詞や形容詞は「5以上」の時の規則に従って格変化させます。

5000の場合は、5に対して名詞扱いの「千」をくっつけますから、「複数形の生格」にするわけですね。
5000: пять тысяч という形になります。

100万: миллион は名詞として見るなら男性名詞なので、200万以上については
200万: два миллиона 500万: пять миллионов のようになります。

まあ、これもまた、お世辞にも分かり易い規則とは言えないと思いますが、少し慣れれば、意外と難しくないでしょう。

個数詞の生格・与格・造格・前置格

文中で名詞が生格 ・ 与格・ 造格・前置格になるべきところに個数詞がつくと、個数詞の形が変化します。この場合、生・与・造・前の区別があるだけで、続く名詞の性による個数詞の変化はありません。・・ただし、千以上の場合は、数詞は 生・与・造・前 のよって変化するが、続く名詞と形容詞は複数生格にします。

数詞に続く名詞や形容詞には特別な規則はなく、個数詞が無い場合の 生格 ・ 与格・ 造格・前置格 の中で、複数形として扱ったうえで適切なものにします。

具体的な格変化を見てみる前に、どういう場面で使うのかを少し考えてみます。
例えば前置詞で「~の間」между を用いる時は、名詞は「造格」にする決まりがあります。この時、「2つの川の間」「2本の柱の間」などと言う時に、個数詞も含めて造格になるわけですね。
逆に、“2つの家の中から”・・といった表現は、一応可能でしょうが、用いられる場面はかなり限定されそうです。さらに“私は2つの家の中にいた!”・・とかになると、もうこれは確実に使わない表現ですね(意味不明なので;)。なので、単に格変化を強引に暗記するのではなくて、どういう場面で実際に使われ得るかを考えてみる・調べてみるといった事が大事ではないかと思います。

主格 生格 与格 造格 前置格
男:один
女:одна
中:одно
複:одни
男:одного
女:одной
中:одного
複:одних
男:одному
女:одной
中:одному
複:одним
男:одним
女:одной
中:одним
複:одними
男:одном
女:одной
中:одном
複:одних
два двух двум двумя двух
три трёх трём тремя трёх
четыре четырёх четырём четырьмя четырёх
пять
6,7,9~30も
同様の変化
пяти
шести
двадцати
пяти
шести
двадцати
пятью
шестью
двадцатью
пяти
шестьи
двадцати
восемь восьми восьми восемью восьми
сорок сорока сорока сорока сорока
пятьдесят
60~80も
同様の変化
пятьдесяти пятьдесяти пятьдесятью пятьдесяти
девяносто девяноста девяноста девяноста девяноста
сто ста ста ста ста
двести двухсот двумстам двумястами двухстах
триста трёхсот трёмстам тремястами трёхстах
четыреста четырёхсот четырёмстам четырьмястами четырёхстах
пятьсот
600~900も
同様の変化
пятисот пятистам пятьюстами пятистах
тысяча тысяти тысяти тысятью тысяти
миллмон миллиона миллмону миллмоном миллмоне

当然ですが、普通に考えると、これは暗記などするものではないですね!!表を見ながら当てはめてみたり、確認したりという事をしながら慣れていけばよいのではないかと、思います。

この格変化について、多少の規則性がある事も見ておくと、多少は便利です。
「5」等に関しては、同じ語尾の女性名詞の格変化の仕方と同じという特徴があります。また、千や百万は名詞として扱われるという事を前述いたしましたが、生・与・造・前の格変化でも、普通に名詞としての格変化をします。(千は女性名詞、百万は男性名詞です。これらの男女の別については語尾で判断します。)

24や35などの「合成数詞」の格変化は?

尚、24とか35といった半端な数の場合は格変化はどうするのか?と言いますと、これは24であれば、20と4の部分を、両方とも同じように格変化させる決まりになっています。

例えば、生格だったら、「24」のうち「20」と「4」を、両方とも生格にするわけですね・・。これは結構面倒ですが、少しずつ学んでいけば慣れるでしょう。

それでは今回はこれで終わります。ご覧いただき、ありがとうございます。

参考文献・参考図書

■ 当サイト記事:ロシア語の前置詞 名詞の格変化についてもまとめています。

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