今回は、「1番目の」「2番目の」「第1の」「第2の」・・などを表す「順序数詞」について学習します!英語だと、ファースト、セカンド、サード・・というやつですね。
「1人」「2人」「1匹」「2個」などの数は、文法的には個数詞と呼ばれています。具体的な個数詞と文法については、前回のロシア語の個数詞の学習の記事で詳しく述べてあります!
順序数詞 「1番目」~「1000番目」
1番目~9番目
まず、「1番目の」から「9番目の」までです!
【※「番目」の表記として、ここでは便宜上、英語的な 1st, 2nd,3rd,4th・・等を用います!】
1st:первый 2nd:второй 3rd:третий 4th:четвёртый 5th:пятый 6th:шестой 7th:седьмой 8th:восьмой 9th:девятый 10th:десятый
「1番目の」については、もちろん状況に応じて「最初の」と訳し換えても同じです!
「1番目」と「2番目」だけ、通常の個数詞は один, два ですから少し形が違いますね。そのほかの数も、4,7,8など、微妙に形が違いますね。

ロシア語の週と月の名称の学習で述べてある通り、「2番目」「4番目」「5番目」は、曜日の火・木・金曜日の名称に直接関係します。
11番目~19番目
今回は、続いて「11番目」以上の表現についてです。これらは、普通のてきとうな物の順番を指す時にはあまり使わないでしょうが、「年月日などの日付」等の表現で使います!
11th:одиннадцатый 12th:двенадцатый 13th:тринадцатый 14th:четырнадцатый 15th:пятнадцатый 16th:шестнадцатый 17th:семнадцатый 18th:восемнадцатый 19th:девятнадцвтый
ちょっと長ったらしいものが多くて覚えにくいかもしれませんが、пятнадцатый、 шестнадцатый のように、特徴的な形をしている事を見ると少し見やすいかもしれません!
20番目以上
20以上については、22 とか34といった半端な数の順序数詞は、
- 10の位は通常の個数詞(例えば30なら тридцать 40なら сорок )
- 1の位のところだけ順序数詞にする(例えば 34なら4のところは четвёртый)
のようにします。ですから、例えば「34番目」なら、 тридцать четвёртый のようにします!
言い換えると、20番目とか30番目とかに相当する順序数詞は、本当にぴったり20番目という場合だけに用いるという事ですね。以下、「20番目」~「90番目」の意味になる順序数詞は次の通りです!
20th:двадцатый 30th:тридцатый 40th:сороковой 50th:пятидесятый 60th:шестидесятый 70th:семидесятый 80th:восьмидесятый 90th:девяностый
100以上の場合の順序数詞についても、110番目とか115番目といった場合は、100の位、10の位は通常の個数詞にして、1の位だけ順序数詞にしてそのまま並べる、という形になりますね。1000以上になっても考え方は同じです。
「100番目」「200番目」などの、100の倍数ぴったりの順序数詞は、次の通りです!「1000番目」も合わせて記しておきます!
100th:сотый 200th:двухсотый 300th:трёхсотый 400th:четырёхсотый 500th:пятисотый 600th:шестисотый 700th:семисотый 800th:врсьмисотый 900th:девятисотый 1000th:тысячный
順序数詞の格変化の仕方
さて、通常の個数詞が格変化するように、順序数詞も格変化します。例えば、「2年生の男子生徒」と言う場合、「2年生の」の部分が「生格」になります。この時、2の部分を順序数詞にして、なおかつ形を生格にするわけです。この時、「2番目の~」に当てはまる「名詞の性」によっても形が変化するので注意が必要です。

順序数詞の格変化は、「硬語尾の形容詞」と同じ格変化の仕方をします。つまり、「 ■ чёрный:黒い ■ голубой:青い・水色の 」などの語と同じ格変化であるという事です。この場合、「形容する名詞の性」ごとに形容詞の対格・生格・与格・造格・前置格があります。順序数詞でも同じ考え方をします。
例として「1番目の」первый を使って、表にして格変化を記します!このとき、基本となる形 первый は「主格で名詞が男性」の時の形であり、 語尾の ый のところを変化させていきます。
※後述するように、「3番目の」だけは別の変化をします!
格\名詞の性 | 男性 | 女性 | 中性 | 複数 |
---|---|---|---|---|
主格 | первый | первая | первое | первые |
対格 | 活:первый 不:первого |
первую | первое | 活:первые 不:первых |
生格 | первого | первой | первого | первых |
与格 | первому | первой | первому | первым |
造格 | первым | первой | первым | первыми |
前置格 | первом | первой | первом | первых |
対格のところの「活」は、名詞が活動体(人・動物)の場合、「不」は名詞が不活動体(机とか家とかの物)の場合という事です!
★活動体と不活動体が分かれてる部分に関しては、活動体は「主格と同じ」、不活動体は「生格と同じ」とも説明されます!
「1年生の男子生徒」:
ученик первого класса
первый → перого【生格】 класс → класса【生格】
「2年生の男子生徒」:
ученик второго класса
второй → второго 【生格】 класс → класса 【生格】
生格の場合、順序数詞だけでなく一般の形容詞の場合にも言える事ですが、形容詞・順序数詞の格変化を決める「名詞」は、「同様に生格にする名詞の性」で決めます。
例えば、「2年生の女子生徒」だったら、女子生徒はもちろん女性名詞、 「2年生の」のところで用いる класс は男性名詞で、「2番目の」 второй は、どちらの男女の性に合わせるのか??というと、結論は класс のほうの性に合わせるのです。
「2年生の女子生徒」:
ученица второго класса
второй → второго 【生格】 класс → класса 【生格】
「彼は2階に住んでいる(アパートなど)」
Он живёт на втором этаже.
жить「住む」→ живёт
второй → втором【前置格】 этаж「階、床」 → этаже【前置格】
「3番目の」третий の格変化
大変ややこしいようですが「3番目の」третий だけは格変化が微妙に異なります!
格\名詞の性 | 男性 | 女性 | 中性 | 複数 |
---|---|---|---|---|
主格 | третий | третья | третье | третьи |
対格 | 活:третий 不:третьего |
третью | третье | 活:третьи 不:третьих |
生格 | третьего | третьей | третьего | третьих |
与格 | третьему | третьей | третьему | третьим |
造格 | третьим | третьей | третьим | третьими |
前置格 | третьем | третьей | третьем | третьих |
「24番目の」・・などの格変化はどうする?
では、24とか25とかの場合はどうするでしょうか。この場合、主格では「20」の部分は個数詞にするわけでしたが、その他の格でも、その部分は「個数詞の主格」を用います。
ですから、「24番目」とか「25番目」とかの4や5などの、順序数詞にする部分だけ格変化する事になります。千の位を含むような大きな数でも、後述しますように1990年などの「年」を表すのに順序数詞を用いるので、割と重要かもしれません。
※通常の個数詞で「24個の」などと言う場合は、格変化させるとすれば20の部分も4の部分も、両方とも格変化させます。
年月日などの日付の表現と順序数詞
さて、年月日などの日付を表現する時に順序数詞を用います。(この習慣は英語でもそうですね。)
① ・・日である 順序数詞「中性」主格
「今日は3月4日だ」などと言う場合、「~日」の部分を順序数詞にします。この場合、順序数詞を中性の主格にして単独で用います。(あるいは、順序数詞+число とも言います。 число は「数」という意味もあります。)
「~月の」の部分は、月の名称を生格にしてくっつけます!
「今日は3月4日だ」сегодня:今日
Сегодня четвёртое марта.
четвёртый → четвёртое【『中性』の主格】 март「3月」→марта【生格】
「今日は1月7日だ!」
Сегодня седьмое января!
седьмой → седьмое【『中性』の主格】 январь「3月」→ января【生格】
② ・・日に 順序数詞「中性」生格
微妙に違う表現で、「~日に生まれる」「~日に会う」などの表現をする場合は、順序数詞を「『中性』の生格」にしてくっつけます!月については、先ほどと同じく月の名称を生格にします!(※後述する「~年に」の場合と違って、 前置詞の в などは不要です!)
「彼は8月15日に生まれた」
Он родился пятнадцпатого августа.
пятнадцпатый → пятнадцпатого
август → августа
こういう表現の場合、「~年に」というのもほしいですよね。「1900年8月15日に生まれた」などの表現は多く目にしそうです。この場合、「年」を表すгодを生格にしたうえで、順序数詞も生格にします。
※後述します。
ただ、「年」が入る場合はちょっとくせもので、「年」単独で用いる場合は、次に述べますように、少し変わります!
③ ・・年である 順序数詞「男性」主格 год
言い方は大体、「~日」などの日付と同じですが、順序数詞は「男性」の主格(つまり、通常記されている двадцатый などのそのままの形)を用いて、「年」 год を添えます。
「今年は2020年だ!」:
Сейчас две тысяча двадцатый год !
сейчас:通常は「今」を表します тысяча「千」:これは通常の個数詞の形
двадцатый「20番目の」:この形で男性主格です。
これは、実質的に格変化を考えずにそのまま順序数詞を使えばいい(辞書などでは男性の主格で表記されるので)という事でもあるので、ある意味分かり易いかもしれませんね。
④ ・・年に в 順序数詞「男性」前置格 году
「2020年に生まれた」などの場合、まず前置詞の в をつけたうえで、順序数詞は男性の「前置格」にします。(※もともと「~の中で」の意味の в の後に来る名詞の格が前置格ですので自然な用法かと思います。)
その後に году をつけます。
ちょっと分かりにくいのは、この году という形は、 год の前置格でも生格でもなく、「与格」なんですね。・・これはちょっと整合性が取りにくくて理解しにくいですが、確実によく使う表現であるので学んでまいりましょう!!

「彼は2020年に生まれた」
Он родился в две тысяча двадцатом году.
родиться:生まれる → родился:生まれた
двадцатый → двадцатом【男性・前置格】
」
две тысяча :2000【この場合のように順序数詞の一部として用いる場合は格変化なし!】
もっとも、実際のロシア語の文章をネットで見ると、こういう年号に関しては 2020 году のように、数字の部分は数字で書いちゃってる事のほうが多いみたいですね!(これに対して、1番目、2番目、・・など、1ケタとかの順序数詞は数字ではなくそのまま言葉で書いてる事も多いようです!)
「1951番目」などともし言う場合、順序数詞にするのは最後のところ(この場合は1)だけで、残りは「個数詞」にしてぼんぼんくっつけるという規則です。
簡単に前述してありますが、この場合の「個数詞の部分」は一切格変化せず、主格のまま並べるという決まりです。ですから上記の例でも、「2020年」の「20」のところの順序数詞だけ格変化させ、「2千」に相当する個数詞部分は何も変化させず、主格のままにするわけです。
しかし他方、ややこしい事に、通常の個数詞の場合はそうではありません。例えば仮に「1951個の」などと言う場合は、千の部分も9百の部分も50の部分も、1の部分と同じく全てを格変化させる決まりになっています!
これは少々注意が必要で、とてもややこしいですね!!
⑤ ・・「~年~月~日に」 年と日が混ざってる場合は??
上記の「~日に」のところでも触れましたように、「彼は2020年8月15日に生まれた」のような場合は、「15日」のところだけ順序数詞(中性・生格)にして、残りは生格にしてくっつけます。この時、「2020年」の部分は、二十のほうの「20」を(男性の)生格にしたうえで года(год の生格)をつけます。また、この時に前置詞 в はつけません。
※順序数詞の生格は、男性と中性が同じ形なので男性・中性を区別しなくてもいいとも言えますが、ここでは「男性の生格にする」と表現しておきます!
「彼は2020年8月15日に生まれた」
Он родился пятнадцпатого августа две тысяча двадцатого года .
「15日に」などがある場合は、そっちのほうの文法規則が適用される習慣になっている・・と、考えたほうがいいかもしれませんね。
1つ1つはそこまで難しくないですが、使い分けを整理するのが大変ですね!!文法の内容を整理したうえで、実際の用例に多く触れる事が大事ではないかと思います!!
Отечественная война 1812 года (фр. Сampagne de Russie pendant l’année 1812) ― война между Российской и Французской империями на территории России в 1812 году.
ウィキペディア:Отечественная война 1812 года から引用
以前の記事でも引用した「1812年ロシア戦役」(フランスのロシアへの侵攻による戦い)についての文です。 война:戦争
これを見ると、最初の война 1812 года(これは固有の名称の一部ですが)と、最後の в 1812 году を比較すると год の形が違うわけですね。ここでは年代は「1812」っていうふうに数字で書いちゃってますが、これを言葉で書くとしたら、まず、「千」と「800」の部分を個数詞の主格(順序数詞の中で使う時は主格の形のまま変化しない)で並べて、「12」の部分は格変化しますね。
- 主格の形:тысяча восемьсот двенадцатый год
- 生格の形:война тысяча восемьсот двенадцатого года (1812 年の戦争)
- 前置格の形:в тысяча восемьсот двенадцатом году(1812 年における、1812 年に起きた)
・・のようになるわけですね!1812のように数字で書いてあれば意味は明確なので、文章の意味を読み取るだけならそれほど重要な文法事項というわけでもないとも言えますが、学習した事を用いて考察してみると理解が深まるかもしれませんね。
それでは今回はこれで終わります!ご覧いただき、ありがとうございます!
参考文献・参考図書
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