今回は何時何分などの、時刻の表現を学習します!
目次:
- 時刻:「何時何分」の言い方・・「今7時10分です」など
- 時刻に関連する色々な表現、フレーズ・・「今何時ですか?」など
- 「~時過ぎ」の表現と順序数詞・・「今7時過ぎです」など

【 стрелка:針、矢印 стрела:矢(弓矢の)】 час は「hour,60分」の意味での「時間」、一般的な意味での「時」「時間」は время と言います。 три は「3」の事です。このような「個数詞」で時刻を表す場合の文法事項について、以下詳しく見ていきましょう。
時刻:「何時何分」の言い方
秒、分、「60分の意味の『時間』」はロシア語では次のように言います。
- секунда:秒
- минута:分
- час:時間(hour の意味のほう)
時刻は、これらを用いて表現します。
すなわち、基本的には「何時何分」は
「数字(個数詞) + 『時間(час)』『分(минута)』」という感じで表現するのです。
★1234・・などの「個数詞」とその文法規則については以前の記事で詳しくまとめています!
考え方自体は、難しくないですね!!
ただし、この場合も、個数詞と名詞に対する「格変化」の規則は適用されます!
この文法規則について、詳しく説明いたしますね。
時刻を主格として用いる場合「・・時・・分です」
時刻を「主格」 として用いる場合は次のようにします。
具体的には、「今~時~分です」などと言う場合です。
(「対格」の形も大体同じ扱いですが、それについては後述します!)
- 1に対しては「分」минута および 時間「час」をそのままの形でくっつける
- 2,3,4に対しては「分」「時間」を「単数の生格」の形にしてくっつける
- 5以上に対しては 「分」「時間」を「複数の生格」の形にしてくっつける
- 5以上でも、「21」「54」などの合成数詞で表す数では、それに続く「分」「時間」の格は1の位の個数詞に合わせます(例えば「54」だったら「4」の場合に合わせます。)
この格変化について、минута は女性、часは男性なので変化の仕方も微妙に異なるわけで、初見ではわけが分からなくなりそうですね。具体的に、たくさん見てみましょう。
- 1時1分 → 1 час 1 минута 【主格】
- 2時3分 → 2 часа 3 минуты 【生格・単】
- 5時5分 → 5 часов 5минут 【生格・複】
- 組み合わせ:1時10分 → 1 час 10 минут
7時4分 → 7 часов 4 минуты
3時40分 → 3 часа 40 минут
8時1分 → 8 часов 1 минута - 20以上で、「41」などの半端な数の「分」を含む場合:
2時53分 → 2 часа 53 минуты 【「3」の場合に合わせて「分」は生格・単】
2時41分 → 2 часа 41 минута 【「1」の場合に合わせて「分」は主格・単】
53分を文字だけで書くと → пятьдесят три минуты
41分を文字だけで書くと → сорок одна минута - 11時15分 → 11 часов 15 минут
【11~19については合成数詞ではなく、1語で言い表せるので「5以上」の時と同じ扱いです。
つまり час、минута を複数・生格にします。11:одиннадцать 15:пятнадцать】
★名詞の格変化については前置詞に関する学習の記事の中で詳しく表にしてまとめています!名詞の男性・女性・中性の区別の他に、「子音で終わる」「 йで終わる」などの語尾の違いによっても格変化の仕方が変わったりします。
★数字を言葉で書く場合(および、口で言う場合)、1,2・・などの個数詞は「主格・対格」の形をそのまま用いればよいのです。ただし、1と2に関しては час (男) ・минута(女)の性別に合わせて один(男用)・одна(女用)、 два(男・中用)・ две(女用)を区別する事になります。
- 「1時1分」: один час одна минута
- 「2時2分 」: два часа две минуты
★会話などでは、 час や минута を省略して、数だけで時刻を言う事も少なからずあるようです。(英語的ですね。)その場合には、当然これらの格変化の文法は不要ですね。また逆に、「(今)1時です」と言う場合は、数字のほうを略して Час. とも言うそうです。
これらは、例えば「今3時15分です」などと言う場合に、
Сейчас три(3) часа пятнадесять(15) минут.
сейчас:今【副詞】
のように使えばよいわけです。

時刻を対格として用いる場合「・・時・・分『に』」
他方で、「何時何分『に』」と言う場合は、前置詞 в を用います。
この場合、 в に続く「何時何分」の部分は、『対格』にします。
(※この場合は前置格ではないのでちょっと注意。)
対格にする場合、個数詞は「『女性に対する1』は однуに変える」事を除いては、他は全て、対格は全て主格と同じ形(つまり「変化なし」) です。
ただし、21とか31とか言う場合にも20と1を組み合わせて表現するので、1の部分は同じ格変化になります。(11は одиннадцать なので、主格も対格も同じ形です。 )
【※細かい事を言いますと、これらは人や動物で無い「不活動体」に適用される規則です。
ただし、時刻に対して用いる時は час、минута はもちろん不活動体ですからこの規則でよいのです!
個数詞に続く名詞が活動体の場合には2~4については生格と同じ形にするのですが、ここでは関係がないので詳細は省きます。詳しくはロシア語の数と個数詞の記事にまとめています。】
また、対格の場合の個数詞に続く名詞の部分(ここでは「時間」「分」)は、2以上の個数詞に関しては主格の場合と全く同じです。つまり、主格の場合と同様、2,3,4に対してはчаса минутыを使うという規則をそのまま適用します。
他方で、対格の場合に、1に続く名詞はそのまま対格にします。(生格などではなくて。)
これらはかなり分かりにくい規則だと思うので、少しまとめます!
「1」を含む場合であり、それ以外は主格の時と同じ格変化です。
- 1に続くчас は、対格が主格と同じ形なので実質的に変化なし【男性・不活動体なので】
- 1に続く минута は минуту 【対格】になります。
- 2以上に続く час , минута は主格の場合と同じ変化です。つまり単・複の生格にします。
ですから、「~時~分に」の表現の場合、数詞として「1」「21」「31」を使う場合だけ注意が少し必要であり、それ以外では時刻自体の部分は実質的に主格の時と同じ形、という事になります。
- 「3時5分に」: в 3 часа 5 минут
- 「5時10分に」: в 5 часов 10 минут
- 「2時に」: в 2 часа
- 「1時1分に」: в 1(один)час 1(одну) минуту
★単に「1時1分」の場合、「1分」は одна минута - 「1時21分に」: в 1(один)час 21(двадцать одну) минуту
★単に「1時21分」の場合、「21分」は двадцать одна минута
朝の6時と夜の6時を区別したい時は、朝:утро 夕方:вечер を、生格の形にして時刻にくっつけます。 さらに в をくっつければ 「朝の6時に」などになります。
- 「朝の6時」:6 часов утра
- 「夜の6時」:6 часов вечера
深夜の2時という意味での午前2時は、夜:ночь を生格にしてくっつける事で表現します。
つまり、2 часа ночи が「深夜2時」を表します。
★ ночь「夜」のように、軟音符 「ь」が語尾の名詞は男か女か見た目では判別できないという面倒な習慣になっています。結論は、ночь は「女性名詞」です。
ночь → ночи【生格】
もし男性名詞であれば、語尾は軟音符の部分が и ではなく я になります。
これは、1つ1つ強引に暗記するというよりは、むしろ「2 часа ночи」といった具体的な表現も学習しながら覚えるように努めたほうがいいかもしれませんね。
時刻に関連する色々な表現、フレーズ
今何時ですか?
さて、「今何時ですか?」というのはどのように言えばよいかも知りたいですね。英語で言うと What time is it now? ですが、ロシア語では?
結論は、「何時ですか」は、次の2通りの言い方があります。
- Сколько времени?
- Который час ?
一応、どっちが硬いとか柔らかいとか、そういうのはあまりないみたいですね。
基本的には、どっちでもいいみたいです。
- сколько:いくら 【金額や、その他の数量を尋ねるのにも使います。】
- время:時間 【これは一般的な意味での「時」time の意味ですね。】
★ 「~がいくつありますか」の時のсколько の後に続く名詞は生格にし、「時間」などの複数形を使わないものは単数形のままにします。
время → времени【単数・生】
★время は中性です(語尾が мя)。 - который:これは、疑問詞というよりは、関係代名詞の意味での which that のような使われ方を一般的にはするようです。
- час:上記でも触れたように、hour の意味での「時間」ですね。
どちらの表現でも、сейчас:「今」を加える事もできます。
- Сколько сейчас времени?
- Который сейчас час ?
これで、「『今』何時ですか?」になります。
時間を尋ねる表現として、「今」はあってもなくてもよいようです。
「~時間後に」「~時間前に」などの表現
~時間後に: через ~(対格)
「~時間後に」という表現は、前置詞 через を用います。この時、時間(用いる単語は時刻と同じ)を表す部分は「対格」にします。(つまり、「何時何分に」の場合と同じ扱いで、「1」以外は主格と同じ形です。)
- 「8時間後に」: через 8(восемь) часов
- 「3時間後に」: через 3(три) часа
- 「1時間後に」: через 1(один) час
- 「2時間5分後に」: через 2(два) часа 5 (пять) минут
- 「1時間1分後に」: через 1(один) час 1(одну) минуту
★ただし、この через という前置詞は基本的には英語で言うと through に近い意味です。
後に続く名詞を「対格」にする点では、一般的な через の用法でも同じです。
また、英語の after の意味での「~の後で」を表す前置詞は после です。
この表現は、「2週間後に」: через 2 неделиとかといった感じでも使う事ができます。
~時間前に: ~(対格) назад
назад または тому назад を用いて、「何時間何分前に」などを表します。この назад という語(副詞)は、英語で言うと ago に近い意味です。まず時間を表す語を置いて(「対格」の形にして)、そのあとにназад を添えます。
- 「3時間前」:3 часа назад
- 「10時間前」:10 часов назад
- 「2時間5分前」:2 часа 5 минут назад
- 「1時間1分前」:1час 1(одну) минуту назад
ユーチューブなどで、動画が投稿されたのが「1時間前」とか「5時間前」とか表示されますね。
これがロシア語表示だと 1час назад 、 5 часов назад などというふうになります。
日、週、月・・などでも同様に「3日前に」などと表現する事ができて、格変化の仕方自体は「~時間~分前」と同じになります。
「~時過ぎ」の表現と順序数詞
さて、日本語で「今8時過ぎですよ」などという言い方があります。これは、「8時を少し過ぎている」くらいの意味で、8時には既になっているけれど、細かい時刻についてはてきとうにごまかす表現ですね!
これと同様の表現が、ロシア語にもあります。その場合は、個数詞ではなくて「順序数詞」(1番目の:первый 2番目の: второй 3番目のтретий 4番目の:четвёртый ・・)を用います。
- 「~時過ぎです」などの場合:「順序数詞の『男性・主格』」 час (例:первый час )
- 「~時過ぎ『に』」などの場合: в「順序数詞の『男性・主格』」 часу (例: в первый часу )
ただ、注意すべき点があって、例えば「3時過ぎ」と言いたい場合、順序数詞は「4番目の」 четвёртый を用います!
これは一見理解に苦しみますが、要するに0時~1時を『第1時』としている、という事らしいです。つまり、「3時過ぎ」は「第4時」として扱うと言う事です。

ですから、「今3時です」と言う場合には個数詞の3を使いますが、
順序数詞の「3番目の」は、「今2時『過ぎ』です」と言う時に使うわけです。
- Сейчас три часа. 「今3時です。」
- Сейчас третий час.「 今2時『過ぎ』です 。」третий:3番目の
この「~時過ぎ」の場合、час の部分はそのままの形(主格)を用います。他方で、順序数詞の部分は「『男性の』主格」の形を用います。
★もっとも、形容詞や順序数詞では、辞書などで表記される基本の形が「男性・主格」です。
「~時過ぎ『に』」と言う場合
他方で、「~時過ぎ『に』」と言う場合は、次のようにします。
- 「2時過ぎ」→「3番目の」の順序数詞を用いるという考え方は同じ
- 前置詞として в を用いる
- 順序数詞は「男性・前置格」 の形にする
- うしろに часу をつける (これは『与格』の形です)
ですので、例えば「僕は、今日は7時過ぎに朝食を食べましたよ。」をロシア語で言うなら次のようにします。
Сегодня я завтракал в восьмом часу.
восьмой「8番目の」 → восьмом【前置格・男性】
以前の記事の順序数詞の格変化の仕方の解説で詳しく述べてありますが、順序数詞の男性・前置格の形は、「3番目の」が третьем になる場合を除くと、他のものはすべて最後の2文字を ом にする、というものになります!
「~時『何分過ぎ』」「~時『何分過ぎに』」と言う場合
「3時10分過ぎ」も表現も可能です。
しかし、さらにまた規則が少々異なるので面倒です!!一応記しておきます!
「分」が入る場合の「~時~分過ぎ」は、次の手順で作ります。まずは、「今 、~時~分過ぎ です」のような場合です。次のようにします。
- まず、個数詞の主格の形で「分」の数字を先に書く
- 続いてминутаを書く。(個数詞の規則に従って格変化)
- 次に、「分」が無い場合と同じく0時~1時を「第1時」と考えたうえで、
「時間」の部分を順序数詞にして持ってくる。 - 順序数詞の部分は「男性・生格」にする。
- 最後にчас をつけてもいいが、普通は省略するらしい。
さらに、「~時~分『過ぎに』」と言う場合は次のようにします。
- まず、個数詞の対格の形で「分」を先に書く
- 続いてминутаを書き、個数詞の規則に従って格変化。(上記と同じ)
- 次に、「分」が無い場合と同じく0時~1時を「第1時」と考えたうえで、
「時間」の部分を順序数詞にして持ってくる。(ここも上記と同じ) - 順序数詞の部分は「男性・生格」にする。 (ここも上記と同じ)
- 前置詞はつけないので注意!
つまり、単に「3時10分過ぎです」などと言う場合と比較すると、「分」の部分を対格にするところだけが異なります。
対格にするという事は、上記でも触れました通り、1、21,31、・・などを用いる時に主格と異なった形が出てきます。それ以外では主格の時と同じであるわけです。
・・ただし、実質的に「2時21分過ぎに」・・などとは、ほとんど言わないかとは思います!言うなら、普通は「2時20分過ぎ」ですよね。なので、ここでは詳しく説明していますが、実際面ではそれほど気にしなくてよい事も多いかもしれませんね。
★「6時半(6時30分)過ぎに」なども言えます。
その場合は、次のようにします。
- 前置詞вを用いる
- половина「半分」(これは名詞です)という語を用います。
前置格にします。половина → половине - 「6時」の部分を、「第~時」で数えたうえで順序数詞にします。
(つまり「第7時」を使います。)
この時、「半」の部分は「分」と同じ扱いであり、「半」だけを前置格にして、順序数詞は男性・生格にします。
「僕は6時半過ぎに起きた。」
Я встал в половине седьмого.
вставать「起きる、立ち上がる」
седьмой 「7番目の」→ седьмого【男・生格】
いやあ~、なんだか数が関わるところは、細かい部分も整理すると、大変ですねえ!!意味自体は単純な事なのですが、規則が複雑です!こういう事は、英語以外の西欧言語でもよくある事ではありますが、東欧言語のロシア語でも初学者にとって相当厄介な部分だと感じます。たまたまでしょうけど、日本語や英語での数の表現の構造は、すごく簡単にできていると感じます・・!
それでは今回はこれで終わります!ご覧いただき、ありがとうございます!