小詞 -то, -нибудь, ни- の意味

ロシア語を見てると、時々 кто-то のように、単語をハイフンで то とつないだ表現が目につきます。これは一体何の意味なのかについて、今回は説明します。

小詞とは?

小詞とはどういうものか、まずはざっくりと概略を見てみましょうね。

小詞の意味 ■ 小詞にはどんなものがあるか? ■ 疑問詞との違い 

小詞について

不定小詞の意味

-то という表現は、 ロシア語文法では、少々聞きなれない語かと思いますが「小詞」という部類に入ります。 英語で言うと「 someone(誰か)の some の部分」に相当します。(※ハイフンは略さずにそのままつけます。)つまり、具体的な誰々ではないけれど、「誰か」という、ちょっとぼかした意味合いを加えるものです。

「誰か」「何か」などを不定代名詞と言い、「どこかで」などを不定副詞と言う場合もあります。

小詞にはどんなものがあるか?

小詞に分類されるものは、 -то 以外にもいくつか存在します。

その1つは -нибудь というもので、意味的は -то とほとんど変わらないのですが、疑問文の中で、「『誰か』が来ましたか?」などと言う場合の『誰か』の部分に用います。これは、少し分かりにくいかもしれませんが、「誰が来ましたか?」と言うのとは区別されるのです。詳細は後述しますが、疑問文でなくても「誰でもいいから誰か」という意味合いで使われます。

これらは後述するように、通常の疑問詞とは区別されます。

別の小詞の1つは、接頭辞のように文頭につけるもので、ни- というものです。大体予想がつくかもしれませんが、否定の意味合いがあります。ただし、小詞とくっつく語の意味を否定するのではなく、否定文で使われるという事です。例えば「誰もいなかった」などです(英語で言うと no one, nobody )。その点が、語の意味を否定したり逆の意味にする接頭辞の не- とはちょっと違うわけです。 ни- がつく語も基本的に代名詞で、作られた語を否定代名詞とか否定副詞などと呼ぶ事もあります。

疑問詞との違い

疑問として「そこにいるのは誰?」と言うのと、「そこに誰かがいた。」と言うのは、違う表現ですね。疑問の場合は、普通に疑問詞を使います。ロシア語だと、「что:何 」「кто:誰」「где:どこ」などですね。

それに対して、 「そこに誰かがいた。」 などと言う場合は不定小詞を使うわけです。日本語の単語単独で「誰: что 」「誰か: что -то 」とだけ説明されても少し分かりにくいでしょう。「誰がいたの?」といった直接的な疑問の表現なのか、そうでないかという点を明確にするとよいかと思います。

前述の通り、「『誰か』がいたの?」・・などと言う事もできて、こういう疑問の場合は小詞をつけて不定代名詞を用いるのです。

-то がつく色々な語

では、どんな語に -то がつくのかを整理してみましょうね。

疑問代名詞に付く場合 что-то 等 ■ 疑問副詞に付く場合 где-то 等
いくつか例文 ■ 不定代名詞は格変化する! 

疑問代名詞に付く場合 что-то 等

まず、小詞の -то が疑問代名詞に付くパターンです。
これによって「誰か」「何か」などの語を作って代名詞的に用いる事ができます。

  • что → что-то「何か」
  • кто → кто-то「誰か」
  • какой → какой-то ~「何かの~、ある~」
  • чей → чей-то「誰かの」

書く時には、ハイフンも必ずセットになります。

какой-то については、さらに別の名詞とセットになって、例えば какой-то черовек で「誰か」「ある人」「誰かさん」とかいった意味になります。 これに関しては、後述する какой -нибудь の形で使われる事のほうが多そうです。

これに対して кто-то はこれ単独で1つの名詞のように使えます。

疑問副詞に付く場合 где-то 等

疑問副詞とは、疑問詞のうち「どこ」「いつ」の事です。これに -то をつける事もできます。 その場合、上記でも少し触れましたが、できあがった語は不定副詞とも呼ばれます。

  • где → где-то「どこかに」「どこかで」
  • куда → куда-то「どこかへ」
  • когда → когда-то「いつか」(「かつて」の意味になる事も)

他に、почему「なぜ」に小詞をつけた почему-то も、文法上は同じ部類に入るとされています。これは「なぜか」「どういうわけか」の意味です。

いくつか例文

はい、ではいくつか簡単な例文を見てみましょう。

「彼女は彼に『何かを』言った。」Она сказала ему что-то.
★ говорить → сказить【完了体】 → сказала【過去】 он → ему【与格】

「私の留守中に『誰か』が来ていた。」Кто-то приходил без меня.
★ кто-то は男性扱い приходить:来る без:~なしで【前置詞】
★ この文で кто-то を какой-то черовек (черовек:人)で置き換えても似た意味になります。

「おはよう と言う『誰かの』声がした」”Доброе утро.” — сказал чей-то голос.
★ доброе утро:おはようございます голос:声【「音」は звук】

このページの内容に直接関わらない文法事項や単語の説明については、初歩的な動詞動詞の時制前置詞人称代名詞の格変化等を別途に詳しくまとめていますので参照お願いいたします☆

不定副詞を使った例文は、例えば次のようなものです。

Где-то я его видел. 僕は、彼を『どこかで』見た事があった。
★ видеть:見る

Когда-то она читала эту книгу. 『かつて』、彼女はその本を読んだ事があった。
★ читать:読む 「かつて」の部分は「いつだったか」と言っても同じです。

Она пошла куда-то. 彼女は『どこかへ』出かけた。
★ ходить:行く、歩く → пойти【完了体】→ пошла【過去】

このような感じです!

видеть:見る ходить:行く、歩く читать:読む

不定代名詞は格変化する!

小詞をつけた不定疑問詞は、名詞と同じように色々な役割を文中で果たせますが、じつは・・通常の名詞と同じように格変化します・・・。残念なお知らせですね。

「こんなものまで格変化ですか!!一体どれだけ多くの物が格変化するのですか!?」
・・と、思ってしまうかもしれませんね。

しかし、格変化する部分は что кто 等の格変化の形に -то をつけるだけです。つまり疑問代名詞の格変化を使えばいいので、別途に格変化を覚える必要はなく、ここでは敢えて書かない事にいたします・・☆

例として、例えば что-то については、生格であれば чего-то です。

карта чего-то :『何かの』地図

карта:地図

чей の格変化は少しめんどくさいので、ちょっと注意する必要があります。
例えば、「『誰かの』家の中で」と言う場合は前置格ですから в чьём-то доме です。
軟音符がつくところを覚えてないと見分けにくいかもしれません。

что の「対格」は主格と同じ形になるので、上記の例でも実質的に格変化を気にする必要はありません。

他方で、小詞をつけてできた不定副詞については、副詞と同じ扱いであり、一切格変化しません。

小詞に関連する格変化のポイント
  • 不定代名詞は格変化する。格変化する部分は疑問代名詞の部分のみ。
    例:что-то → чего-то【生格】 чей-то → чьём-то【前置格】
  • 不定副詞は格変化しない。

-нибудь の使い方

-нибудь という、少し長ったらしい小詞もあります。 ここではこれの意味を説明しましょう。

-нибудь の意味と -то との違い ■ 不定代名詞 что-нибудь 等 ■ 不定副詞 где-нибудь 等 

★ 格変化については、-то の場合と全く同じです。不定代名詞では疑問代名詞に相当する部分だけ格変化し、不定副詞は格変化しません。

-нибудь の意味と -то との違い

これは例えば、что-нибудь кто-нибудь のようにして使います。

これらの意味は、じつは日本語に訳してしまうと「誰か」とか「何か」となり、一見すると что -то と同じ?に見えてしまいますが、じつは違いがあります。

違いをごく簡単に言うと、次のようになります:

ポイント:-нибудь と -то との違い
  1. 疑問文やで「『誰か』が来たか?」などとする時は小詞は -нибудь を用いる。
  2. 疑問文でなくても、「誰でもいいから『誰か』」「何でもいいから『何か』」「いつでもいいから『いつか』」のような意味の合いの時は、小詞は -нибудь を用いる。
    (命令文で「何でもいいから持ってきて」等と言う場合もこれに該当。)

★ 下記でも少し触れますが、
後者の「何でもいいから『何か』」といった意味の方に統一的に捉える事もできます。

これは、「特定では無く、かつ任意の物や人」・・みたいに説明されますが、それは少々分かりにくい説明でしょう。要するに、疑問文や、誰でもいいから誰かという意味の時に用いられるわけです。

小詞の -нибудь がつく語は、基本的には -то が付く語と同じで、不定代名詞や不定副詞を作ります。
ただし、почему に対しては、-нибудь はつきません。

不定代名詞 что-нибудь 等

  • что → что-нибудь「何か」【何でもいいから】
  • кто → кто-нибудь「誰か」【誰でもいいから】
  • какой → какой-нибудь ~「何かの~」【何でもいいから】
  • чей → чей-нибудь「誰かの」【誰でもいいから】

Кто-нибудь приходил без его ?彼の留守中に誰か 来ましたか

Расскажите нам что-нибудь .(何でもいいから)何か話してください・教えてください。
★ рассказывать:伝える、話す、教える → расскажите
【※こういう場合、完了体のほうの命令形にします・・。】

一応、疑問形の場合に用いる場合も、実質的に「何でもいいから」「誰でもいいから」という意味も含まれているとは確かに言えます。そう考えたほうが統一的で分かりやすいという場合は、そう捉えてもよいかと思います。

不定副詞 где-нибудь 等

-нибудь で不定副詞を作る場合も、意味としては不定代名詞の時と同じです。こちらは、疑問文でも用いますが、「なんでもいいから」といった意味のほうが分かりやすいかもしれません。

  • где → где-нибудь「どこかに」「どこかで」【どこでもいいから】
  • куда → куда-нибудь「どこかへ」【どこでもいいから】
  • когда → когда-нибудь「いつか」【いつでもいいから】

Пойдёмте куда-нибудь! (どこへでもいいから)どこかへ行きましょう!

где-нибудь については、
где-нибудь в мире 「世界の中のどこかで【どこでもいいから】」
где-нибудь в Москве「モスクワの中のどこかで【どこでもいいから】」
のように使えます。要するに、どこか限定したうえで、その中ならどこででもいいから・・という意味で使えるわけです。

小詞の ни- の使い方

最後に、小詞の ни- についても、簡単に述べましょう。

これは否定文で用いられて、疑問詞の語頭に結びついて「誰も」とか「何も」の意味で用いられます。これにより作られる「否定代名詞」と「否定副詞」には、то- の場合等と違ってハイフンはつけません。

まず、否定代名詞のほうです。

  • что → ничто「何も」【「・・ない」、といったように続く。】
  • кто → никто「誰も」【・・ない】
  • какой → никакой ~「どんな~も」【・・ない】

★ чей については考えない事になります。

続いて、否定副詞です。

  • где → нигде「どこにも」【・・ない】
  • куда → никуда「どこへも」【・・ない】
  • никогда → никогда「一度も」【・・ない】

Никто не знает об етом. それについては誰も知らない
★ знать:知っている о:~について【前置詞】 → об【母音の前では形を変える】

Где он ? Нигде его нет…  彼はどこ? どこにもないですね・・。

否定代名詞 ничто, никто 等は、格変化もします。不定代名詞の時と同じく、基本的には что , кто 等の部分だけを格変化させます。

ただし、 否定代名詞に対して直接的に前置詞を用いる時【※前置格の場合ではなく、前置詞に対応する名詞として用いられる場合全て】 には注意が必要です。
じつはこの場合には ни と、что 等の疑問代名詞の部分が分離します。その時、前置詞は両者の間に置くという規則があります。
・・うん、じつに複雑な規則ですね。

簡単な例としては、「誰も消しゴムを持ってなかった」等の表現です。ロシア語では、「~を持っている」という表現は、前置詞を用いて表します。

У меня был ластик. 僕は消しゴムを持っていた。
У меня не было ластик. 僕は消しゴムを持っていなかった。
★ この種の否定形の作り方は、存在を表す表現の否定形のまとめにて。

「誰も」持ってなかった、と言う場合、前置詞の у に続く部分に никто を入れたいところなのですが、この時に ни と кто が分離するという意味です。

Ни у кого не было ластик. 誰も消しゴムを持ってなかった

ちょっと分かりにくいかもしれませんが、
никто → никого【生格。у に続くので。】→ ни кого【分離】→ ни у кого【前置詞は間に置く】
・・という事です。
分離させてから格変化させてると考えてもいいと思います。

鉛筆:карандаш  消しゴム:ластик

これらの表現は、格変化まで含めると結構めんどくさいところもありますね。sかし、ロシア語の中ではところどころで多く使われるので、慣れるのは意外に簡単だと思いますよ!

今回はこれで終わります。ご覧いただきりがとうございます!

参考文献・参考資料

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